さらに電気料金規制が撤廃される。これまで料金体系を変えるには国の認可が必要だった。今後はその必要がなく、事業者は自由に料金を決めることができ、消費者はさまざまな料金プランから、自分の生活に合ったものを選択できるようになる。

 電気という商品の性質上、差別化は難しく、ゆえに価格勝負となり、料金は現在よりも下がるという見方が大勢だ。東燃の資料が、それを裏付けた格好となり、今後、各社の料金が発表されてくれば、価格競争が本格化するだろう。

自由化の恩恵は
全顧客に行き渡るわけではない

 一方で、東燃の資料からは「だれもが電力会社を選択できるわけではなく、料金の低下の機会を得られるわけでもない」ということも明らかになった。

 というのも、東燃がサービス対象としているのは、「従量電灯B」で30アンペア以上、小規模店舗向けの「従量電灯C」や「低圧電力(動力)契約」の顧客に限定されている。電気使用量の少ない30アンペア以下の契約をする顧客や、東電の契約形態の一つである「電化上手」で、オール電化住宅に住む顧客は対象としない。

 東燃の分析によれば、30アンペア以下で契約する電気使用量の少ない顧客には、東電は原価割れの状態で電力供給をしているという。つまり東燃は、電気を売っても儲けのない顧客は狙わない、という方針なのだ。

 この販売姿勢は、他の新規参入組も同じ。「できれば、電気使用量が多くて、料金滞納などがないカネ持ち世帯を獲得したい」とは、多くの新規参入社が口にする本音だ。競争市場で生き残らなければならない供給側が、顧客を選別するのは当然ともいえる。

 この姿勢は、東燃が契約した代理店に支払うコミッションの仕組みにも滲み出ている。東燃は値引き後の電気料金の定率、または定額をコミッションとして代理店に払う予定で、契約アンペアが大きいほど、この率と額は大きくなるように傾斜されている。これによって、代理店は電気使用量の多い顧客へ営業しようというインセンティブが働く。

 東燃以外の新規参入社も同様の戦略をとる可能性があり、電気使用量の少ない顧客は、自由化の恩恵を当初のふれこみほど受けられないかもしれない。

 自由化まであと約4ヵ月。価格競争と顧客選別が進むという、まだ見ぬ市場の景色が、徐々に明らかになってきた。