実際に猿江営業所の工場で使われている点検・整備の際のチェックリスト。そのなかに「車内臭い」という項目もある
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「良かれと思って使う市販の消臭スプレーは、『無臭』と書かれていても実際はニオイがする場合もあり、それが気になるお客様も少なくありません。ですから我々は見つけ次第、ドライバーに注意して回収してきました」(當間工場長)

 そして3つ目が、車内の足ふきマットの生乾きのニオイ、シートに染み込んだ香水などのニオイといった車内の問題である。足ふきマットを清潔に保つのはドライバーの役割だが、これまた「良かれ」と思い、頻繁に洗う人もいる。しかも近年は高級感ある毛足の長いマットが主流になり、さらに冬はジメジメして余計乾きにくくなるにもかかわらず、生乾きのまま車にのせるドライバーが。そうした行動によって、車内に雑巾のようなニオイが漂ってしまっていたのだ。

「タクシーは無臭が基本」
車両工場をも巻き込んだ対策

 これらの問題は冬に深刻化するが、やはりタクシーは「無臭」が望まれる。では、具体的にどのような対策を行っているのだろうか。

『THE DRIVERS BIBLE』でニオイ対策について説明しているページ
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 まず1つ目が、ドライバーへの注意喚起だ。同社ではプロのドライバーとしての心得を説いた『THE DRIVERS BIBLE』という自社マニュアルを制作。その中で身だしなみと快適な車内空間づくりについて紹介している。

 頭髪は「整髪料のつけ過ぎに注意。匂いを気にするお客様もいます」と注意。車内は「プロならば、車内は無臭・無音をこころがけよう」と、ニオイ対策として市販の消臭剤や芳香剤の使用を禁止し、「雨天時は特に体臭等のニオイがこもりやすいため、女性客からのクレームを避けるためにも窓を開け、こまめな換気を」と促している。

 また、出庫前に毎日営業所で行われる対面点呼では運行管理者がドライバー自身の身だしなみを確認する際に、ニオイもチェック。コールセンターからは無線を使って「食事の後や雨天時の換気」を促す連絡を流し、注意喚起している。

猿江営業所工場で新氏ニオイ対策を模索し続ける副工場長の柴田孝紀さん(左)、工場長の當間智さん(中央)、工場課長の石垣和裕さん(右)

 そして2つ目が、営業所内に併設されている工場での徹底したニオイ対策だ。猿江営業所にある工場では月に1回、スタッフ4人が泊まり込んで深夜2時から朝8時頃まで車両250台すべての車両点検を行っている。整備や汚れはもちろん、ニオイがしないか、社外規定外の芳香剤などを置いていないか丹念に確認しているという。

「車内をのぞくと、男性特有の独特なニオイがする、ホコリっぽいなど1台1台違うニオイがします。それを確認して対策してきたことで、今では250台のうち多くても10台ほどしか該当するものはなくなりました」(石垣和裕・工場課長)