「リーダーなのだから人格者でいなければ」
という思い込みを捨てる
職務上の上下関係と人間としての価値は無関係、ということは、別の観点にもつながります。
リーダー向けの啓発本などで疲れてしまうのは、そこに、「部下よりも人間として格上になるように」というメッセージを感じ取るからだと思います
リーダーにだって欠点はあってもよいし、人間としての限界は当然あるのです。リーダーだからなんでも我慢できる、などということはありません。
リーダーと部下は人間としては対等ですから、「部下のくせに」という感じ方もおかしければ、「リーダーなのだから人格者でいなければ」という負担を背負い込む必要もないのです。
もちろん、リーダーがそう思っていても、部下は「リーダーの方が上の人間」という意識を持っている場合も少なくないでしょう。おなじみの「媚びる」「へつらう」などはそういう意識の結果だと言えます。
ところが、人間としての上下関係ができてしまうと、人権上だけでなく、職務上もいろいろな弊害が出てきます。本書でこれからお話ししていくようなことができなくなってしまうのです。
ですから、リーダーから「我々は人間としては対等」という姿を率先して示していくことが重要なのです。
これは決して、部下のご機嫌取りをするという類いの話ではありません。
また、「お友達関係」になるということでもありません。
もちろん、リーダーとしての職務上の責任を免除するものでもありません。どういうことなのか、その概念を説明していきます。