潜在的な「住宅弱者」の人々が
立場を超えて協力を

 さて「住まい」は、購入に成功するにせよ、購入に至らないにせよ、日本に住むすべての人々に対して、大きな悩みの種である。いわゆる住宅弱者に対しては、「不安」「苦しみ」、あるいは「ない」という問題にも発展する。この人々への施策を、政府はどのように考えているだろうか?

誰もが「住宅弱者」になりうる日本の構造的問題を考える「ちんたい協会」((公社)全国賃貸住宅経営者協会連合会)公式サイトのトップページ。右側下は、障害者・生活保護受給者・ひとり親家庭などの住宅弱者に住まいを提供する家主を対象としたガイドブックのPDFへのリンクとなっている。
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 国土交通省住宅局・安心居住推進課長の和田康紀氏は「住宅弱者の住宅確保」と題し、「ちんたい協会」が本年2015年に作成したガイドブック(賃借人が生活保護受給者ひとり親家庭高齢者障害者である場合など各々のケースに対して、別途作成されている)を資料として、「よくできたパンフレットです。『聴いておしまい』ではなく、皆さんのお立場で活用をお願いします」と語り始めた。

 たとえば「住宅弱者」は、それぞれに事情が異なる。

 単身高齢者で特に問題になるのは、家賃滞納の可能性・健康状態や生活能力が低下した場合に相談できる身寄りがないこと・孤独死リスクである。

 ひとり親家庭の問題とされているのは、育児と仕事の両立で苦労を抱えること・収入が非正規雇用で少ないこと・周囲のサポートが不十分であることである。

 障害者の場合はまだまだ、賃貸住宅を求めて不動産業者に接触すると「障害者に貸せる部屋はない」と言われることがある。運動障害で車椅子を利用したりしている場合は、そもそも「住める」部屋が見つかりにくい。視覚障害・聴覚障害・知的障害・精神障害の場合も、コミュニケーションが文字や会話で「ふつう」に行えないこと・トラブルの可能性などから敬遠されがちである。就労が困難で生活保護を利用している場合は、さらに物件探しに際して「管理会社の審査を通らない」といった問題も発生する。

 生活保護利用者の場合も、民間賃貸住宅では「審査を通らない」という問題が発生する。公営住宅にも空き室が少ないため、仮住まいであるべきシェルターや簡易宿泊所が「仮」にならず、数ヵ月・数年とどまることになる。運が悪ければ、2015年5月に川崎市で発生した簡易宿泊所火災の犠牲者のように、劣悪な住に殺されることになるかもしれない。