彫刻で使う大理石も
自分で採りに行ったっていう伝説も!

山田 彫刻で使う大理石も自分で採りに行ったっていう伝説もあって。
イタリアの白い大理石が採れる産地として有名なカラーラの石切り場まで行って、自分で石を選んで運んできたという。

こやま えええ? でも運べないですよね?

山田 もちろん、実際は人に運ばせたんでしょうけど。とにかくそんな伝説が生まれるくらい、すべて自分でやんなきゃ気がすまないタイプだったんですよ。それでいてこれだけ多くの大作を残したんだから、個人技の高さはまさに超人

こやま よっぽどワーカホリックなんでしょうね。

『最後の審判』 1536-1541 年 システィーナ礼拝堂、 バチカン

山田 『天地創造』の天井画も『最後の審判』の壁画も、フレスコという技法で描いてるんですよ。フレスコはイタリア語でフレッシュっていう意味で、壁にを塗って生乾きの状態の間に顔料で描く技法のこと。

こやま 生乾きな状態、壁がフレッシュな状態で描くから、フレスコ?

山田 そう。そうすると、漆喰自体が定着剤になってくれるわけ。

こやま それが乾けばもう定着するっていう。

山田 うん。壁にくっついてもうはがせない。はがすときは漆喰ごとはがさないといけない。とにかく、そういう描き方だから、一日に描ける面積に限りがあるわけですよ。毎日、漆喰を塗っては描き、また塗ってはまた描きって感じで。