米国経済の堅調は年前半まで
後半は日本経済にも下押し圧力

 2016年の前半、米国経済は堅調な個人消費を背景にそれなりにしっかりした足取りで歩むことができるだろう。しかし、安定した展開で年後半、さらには来年に向かって進むことは難しいだろう。

 川上である製造業部門のピークアウト感が続くと、労働市場の回復にも一服感が出るはずだ。そうなると、いずれ川下の家計部門にマイナスの影響を与えることになる。米国経済は2016年後半以降、徐々に減速傾向が出始める可能性は高い。

 米国経済に減速感が出てくると、世界経済にも黄色信号が灯る。わが国をはじめ世界の主要国の景気動向にも下押し圧力がかかる。それは、次第に金融市場の参加者にも影響を与え、大手投資家のリスクオフの動きを加速させる可能性がある。

 投資家がリスクオフに動き出すと、米国をはじめとする主要先進国や新興国の株式市場は軒並み不安定な展開になるはずだ。株式市場が不安定化すると、負の資産効果や人々の心理状況の悪化を通して実体経済にマイナスの影響が及ぶ。

 実体経済の落ち込みは、原油や銅鉱石などの資源価格の下落をもたらす。それは資源輸出国のみならず、世界経済に大きなデフレ圧力を与える。

 そうしたシナリオが現実味を帯びてくると、主要国は一段の経済対策を打たざるを得なくなる。わが国やEUは財政・金融政策を動員せざるを得ない。さらに思い切った金融緩和策の実施を余儀なくされる可能性が高い。

 現在、金融市場で、「米国経済の堅調さが年後半まで続けば、FRBは2016年に2回ないし3回の利上げが可能」との見方が有力だ。一方、同国経済の減速が早い時期に明確になると、「その場合、FRBはとりあえず金利の引き上げを止めて、景気の推移を注視することになる」との見方もある。

 そうした厳しい見方の可能性が高まると、為替市場でのドルの上昇余地は限られる。特に、投資家のリスクオフの動きが早期に顕在化すると、円はむしろドルに対して強含みになる可能性が高まる。

 いずれにしても、米国経済の動向から目を離すことはできない。