なお、GPIFのリスク資産への投資配分比率は、昨年9月末時点から、その後の内外の株価の上昇(チャイナショックからの戻り)で基本ポートフォリオの少し下くらいまで積み上がったと推測されるが、その後に、基本ポートフォリオの比率を超えたのかどうかに関して、筆者は情報を全く持っていない。昨年の10~12月期、そして、今年に入ってから、基本ポートフォリオのパフォーマンスに勝っているのか、負けているのかは、今後の発表を待つしかない。

 先に挙げた「日刊ゲンダイ」の記事の本文には、「GPIFの運用下手は市場関係者の間でお笑い草で、年金資金の巨額損失は当然の懸念だ」などとあるが、基本ポートフォリオとの比較抜きに運用の上手・下手を論じることは全く不適当であり、この書き方は、「バカでかつ失礼」だと思う。

 ちなみに、安倍政権に批判的な論調で記事を書く傾向の強い同紙の場合、事態を正確に把握していれば、「安倍政権の責任」をもっと強調できたのではないだろうか。

運用責任の実質的所在は
何処の誰にあるのか

 前述のように公的年金の損得の大半を説明する要因は「基本ポートフォリオ」である。

 それでは、このGPIFの基本ポートフォリオに対する実質的な責任が何処の誰にあるのかは、なかなか複雑な問題だ。ただ、複雑ではあるのだが、はっきりさせておく方がいい問題でもある。

 現在の基本ポートフォリオは、GPIFの運用委員会(安倍政権の意を受けて、本件の検討のために、改組されていた)の答申を受けて、GPIFがその案を理事長の責任で採択し、厚労大臣に認可を求めて決定された。

 基本ポートフォリオに関しては、形式的には塩崎恭久厚生労働大臣が責任者であると考えるのが妥当だ。ただし、理事長以下のGPIFスタッフ(主に基本ポーフォリオの策定に関わった者)は責任者に情報を上げた部下として応分の責任があろうし、運用委員会のメンバーには「専門家」としての責任がある。

 発表されたのは、一昨年の10月末で、日銀の追加緩和(俗称「黒田バズーカ第二弾」)と同日であった。ちなみに、その日の日経平均終値は1万6413円だった。もちろん、この日にポートフォリオを基本ポートフォリオに合わせるのは現実的に無理だ。2014年の12月末が1万7450円、年度で見るとして2015年3月末が1万9206円であり、大まかにはこのあたりが評価のスタート点だろう。