百貨店の売り上げ減少が止まらない。日本百貨店協会によると、10月の全国百貨店の売上高は6.8%減、8ヵ月連続のマイナスだった。

 売り上げ減少傾向は、今年3月からだが、夏のセール開催時期が昨年とずれた6月を除いて、春夏は1~3%台の減少幅におさまっていた。それが、秋になってから9月は4.7%減、10月は6.8%減と下げ幅がきつくなっている。「11月も10月並みの厳しい状況が続いている」(百貨店業界関係者)。

 売り上げ不振の要因は二つある。

 一つは、米サブプライムショック以降の株式相場の下落による“逆資産効果”で、富裕層が動かなくなったことだ。特に新富裕層は、昨年までの2~3年は、百貨店売り上げのけん引役だったが、それが「1000万円単位の高価な時計を展示するワールドウォッチフェアなどは、全然動いていない。絵画も同様」(大手百貨店幹部)と高額品販売が振るわない。

 美術・宝飾・貴金属類の10月の売上高は前年同月比13.5%減と大きく落ち込んだ。

 そして、もう一つが、ファッションのカジュアル化である。

 景気が悪くなると、消費者は生活必需品ではない衣料品の購入を控えるようになる。加えて、スウェーデンから上陸した衣料専門店のH&Mがブームになっているように、ファッションのトレンドは明らかに「低価格志向」になっている。

 10月は、紳士服が9.0%減、婦人服が9.8%減。紳士・婦人服あわせて、百貨店の売上高の34%を占める稼ぎ頭であるだけに、打撃が大きい。

 こうした不振を背景に、ここにきて、百貨店側には値下げの動きが出てきた。例えば、コートやカットソーといった婦人服を中心に、自主企画商品(PB)で、メーカー商品よりも約2割低価格な商品を出して巻き返しを図ろうとしている。

 そのほかに、ブランド個別でも値下げの動きが出ている。フェラガモは11月10日からハンドバッグは平均して8.8%、レディースシューズは14.6%割引して発売。同社は今年5月にも値下げをしており、それに続くものだ。

 最近のユーロ安円高を受けた動きも出ている。

 髙島屋にある高級紳士靴店のJMウィストンは、10万~12万円で販売していた靴を20%値下げした。

 こうした値下げによって、冷え込む消費者の懐に切り込めるか、すでに年末商戦は目の前に迫っている。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 須賀彩子)