その他主要通貨の
安値競争を激化させる

 今回の元安の過程では、同時進行で多くの新興国が資本流出リスクに直面したため、その他の通貨も同様に下落過程にある。ドル高、石油価格の暴落、商品価格の下落といった背景のもとで、ロシアのルーブルは暴落し、マレーシア、インド、タイ、インドネシアの通貨はみな投げ売り状態となっている。

 これらの下落はみな、元安が中国経済を後押しする力を弱めている。ほとんどの新興国の為替レートは人民元とほぼ同傾向にある。これ以外にも、先進国通貨の対ドルレートも大幅な下落を始めている。

 アジアは中国の輸出額において最も大きな割合を占め、中国に続いて通貨価値が下落したアジアの国のほとんどは、中国の重要な輸出国である。同時に、現在、世界的な需要の収縮、輸出増加速度の下落がみられるなかで、世界の主要国は自国の商品保護や雇用確保のために、関連対応措置を採るとみられる。

 世界経済が一体化し、貿易自由化が行われる今、世界恐慌の時のようにブロック経済化、大規模な外国為替統制、保護貿易が採られることはないだろうが、規則で許される範囲内で自国経済の保護が行われると考えられ、これらは元安が中国の商品輸出にもたらす価格的優勢をすべて弱めてしまう。これによって、中国の輸出企業が通貨安によって得られる競争力が低下し、通貨価値下落が輸出を牽引する作用は大幅に弱められる結果となる。

海外顧客の値下げ圧力が
中国企業の利益を圧迫

 人民元の為替レートは現在、中央銀行である中国人民銀行で決められている。この対ドル中間レートメカニズムの市場化改革がさらに進むにつれ、今後も元レートは元安・元高の双方向で乱高下が激化するだろう。

 為替変動リスク回避策がいまだ不完全で、企業が変動リスクへの対応能力に欠く現状では、一部の輸出企業は契約と同時に短期で少額の契約を主とする比較的小回りのきく方法をとる傾向にあり、それが契約額の縮小を生み、企業の輸出額が拡大を続けることに不利となる。