いくつか事例を挙げていきましょう。

 公文教育研究会の学習塾(以下、公文)が世界中で成功しています。公文は海外48ヵ国に進出し、今では日本より海外の生徒の方が多いほどです。主婦が自宅で近所の子どもに勉強を教えるという変わったビジネスモデルが、なぜ外国でも流行ったのか。

 同社の社長に聞いたら、「世界中どこでも、わが子の成長を思わない母親はいない」というのです。母親の子どもに対する愛情は、「自分の生活を少し犠牲にしても自分の子どもには良い教育をさせたい」というもの。その気持ちに公文は応えたいという。海外展開でも、その点を非常に重要視しているそうです。

 でも、それだけでうまくいくかはわからない。そこでローカルのスタッフでもマネジメントできるビジネスモデルで、教室の仕組みやどの生徒にどのレベルの教材を提供すれば良いかのステップの進め方といったコーチング、ティーチングのメソッドも日本と同じにしているから、非常にうまくいっている。もちろん日本語は読めないので、現地語にローカライズしています。

 ただ、たとえばインドでは「日本の九九では簡単すぎる」ということなので、数学はきめ細かい計算方法で教えている。全部を同じにしているわけではありません。

「日本のよさ」を海外で生かせ
味千ラーメンが中国で成功した理由

 MUJI(無印良品)も海外で成功した一例です。日本的なところを押し出し白が基調になっていることも、イタリアのように原色の文化の人々には支持されているし、アジアの人たちから見ても格好よく見えるのだとか。

 一方で、ユニクロは最初から規模を追っているので、ZARAやH&Mと全面戦争をしている。どちらがいいとか悪いではなくて、MUJIのような考え方で寿司屋をやっていくとか、日本食をやるとか、食品を売るとか、そういうことがあってもいいんじゃないでしょうか。

 こんな事例もあります。

 味千ラーメンは、日本には80店くらいしかありませんが、中国には600店以上あります。現在の経営者に話を聞いたところ、創業者が台湾出身だったということで、一度台湾に逆上陸して見事に失敗したと聞きます。その後、捲土重来して香港資本と組み、中国で成功しました。

 最初台湾に進出したときには、ラーメンにとって大事なスープと麺を現地に合わせて全部変えたそうです。ローカリゼーションを進めたわけです。ところがうまく行かなかった。次に中国大陸に行ったときは、自分たちの強みはスープの味とサービスの質にあると信じ、そこは変えないことにしたそうです。そして、後はパートナーに任せた。