原発事故後にも暗躍した
「廃棄食品ブローカー」という存在

 そんな「疑惑」に拍車をかけるのが、今回の横流し食品のなかに「福島第一原発事故の風評被害で売れなかったじゃこ」があることだ。

 みのりフーズの岡田氏によると2012年頃のことで、これが「初めて譲り受けた商品」ということらしく、その後は名古屋市内の卸業者や愛知県内の総菜屋などに転売され、つくだ煮として販売されたという。岡田氏の証言にどこまで信憑性があるかはわからないが、もし「風評被害じゃこ」が悪に堕ちたきっかけだったとするのなら、「廃棄食品ブローカー」の関与が疑われる。

 12年当時、風評被害で売れなくなった食品を市場に流していたのは、なにも大西会長や岡田氏だけではなかった。大阪では、福島産牛肉を鹿児島県産と偽って販売した精肉店の店長が逮捕された。長野では米穀集荷販売業者が、青森県産と福島県産を「長野県産」として販売した。

 もちろん、これはたまたま摘発されて表面化しただけなので、水面下ではさまざまなフードロンダリングがおこなわれた可能性がある。そこで暗躍するといわれるのが、「廃棄食品ブローカー」だ。

 もともと流通の世界には、ガタ屋(関西ではバッタ屋)と呼ばれるような、売れ残り品を専門に流す裏業者が存在していたところへ、近年になって「食の安全」への意識が高まり、品質基準に届かない「廃棄食品」や「風評被害食品」が増えたことで、これらに狙いを定めて裏流通に乗せるブローカーがいるのだ。

 かつて事故米が偽装された際にも、中国産ウナギを愛知県の一色産として流通させた際にも、大規模なフードロンダリングでは、流通の抜け穴を生み出すブローカーたちが暗躍している。

 ダイコー大西会長の初犯が「風評被害じゃこ」というのは、「廃棄食品ブローカー」からの悪魔の囁きに乗ってしまったことを意味するのではないか。

「朝日新聞」(1月22日)でも、食品を扱う複数の産廃業者のもとに、「廃棄食品を売ってくれないか」「北朝鮮や中国に送る」と持ちかけてくる怪しげなブローカーがいると報じ、「大手食品メーカーから廃棄委託を受けている愛知県の産廃業者」の以下のような言葉を紹介している。

「一度、取引したらおしまい。汚い商売につかったら、捕まるまでやめられなくなる」

 要するに、ダイコー大西会長もその「闇」にとらわれてしまったのではないかと、暗に示唆しているわけだ。たしかにダイコーには、廃棄食品ブローカーからの甘い誘惑に乗ってしまうだけの事情がある。