米や麦、トウモロコシと並ぶ「世界四大作物」の一つであるジャガイモ。近代以前は飢餓・戦争時の救荒作物として多くの命を救ってきた。しかし、飽食の現代では他の3作物と同様に「悪役」のレッテルが貼られそうだ。大阪がん循環器病予防センターと米ハーバード大学公衆衛生大学院の共同研究報告から。

 ジャガイモは食後高血糖を引き起こしやすい食材の一つ。ところが米国では野菜に分類されているため、「野菜を食べよう」キャンペーンの度に「フライドポテトは野菜か否か」で巷に論争が起こる。

 そこで研究者らは、米国の医療従事者対象の集団調査を基に、ジャガイモ摂取量と2型糖尿病リスクとの関連を検討した。

 調査対象は女性15万8512人、男性4万0669人。すでに糖尿病や心血管疾患、がんの既往がある人は除外された。ジャガイモの摂取量は4年ごとに調査票記入形式で調べている。

 追跡期間中、新たに1万5362人が2型糖尿病を発症。年齢や性別、その他の食習慣などの影響を排除して解析した結果、ジャガイモを習慣的にたくさん食べる人ほど、2型糖尿病リスクが高いことが判明したのである。

 具体的にはジャガイモを食べる頻度が週に1回未満の人に比べ、週に2~4回食べる人は、発症リスクが7%、毎日食べる人は33%上昇したのだ。

 さらに週3回食べる人をベースに調理法別(ゆでる、つぶす、揚げる)の発症リスクを検討したところ、フライドポテトのリスクが最も高いことがわかった。研究者らは「ジャガイモ、特にフライドポテトの食べ過ぎは、体重や生活習慣にかかわらず、単独で糖尿病発症リスクになる」としている。

 実は、フライドポテトには「発がん」疑惑もある。高温調理による化学反応で発がん物質が生成されてしまうのだ。2型糖尿病に発がんリスク、となれば習慣的に食べるのはためらわれる。

 健康的にジャガイモを食べるには高温調理を避け、煮物や汁物の具材がお勧め。新じゃがの皮付き粉ふきいもなら食物繊維がとれるので、食後の高血糖も抑えられる。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)