お金の借り手には有利だが需要がない
さらに運用する側には“拷問”のような状況

 これまで市中の金融機関が余った資金を日銀の当座預金に積み立てる場合、日銀は、法定準備金を超える部分について金利を付けてきた。それには以前から反対意見もあった。利息を付けると、金融機関は容易に日銀に資金を預けてしまい貸出や運用に回さなくなる可能性があるからだ。

 今回、マイナス金利を適用することで、市中での資金循環を促す一定の効果はあるだろう。また、実際にマイナス金利を適用する部分を限定することで、金融機関、特に中小のそれの収益に配慮している。

 もう一つ重要なポイントは、マイナス金利実施によって金利全般を低下させることだ。特に、7年程度の期間の長い国債の金利までマイナス圏に没してしまった。それによって、住宅ローンの金利などはさらに下げるはずだ。

 問題は、お金を借りる人が見つけにくいことだ。企業部門はかなり潤沢に手元にお金を持っている。借りる必要は低い。そもそも借りても、儲けられる事業がなかなか見当たらない。

 経済の低迷が続いたことで、企業が、事業展開によってどれほど儲けられるかの目安=期待収益率が低下している。そのため、金融機関からお金を借りる企業が少ない。資金需要が盛り上がらないのである。

 結果として、日銀が毎年80兆円もお金を印刷して市中に供給しても、なかなか上手く回らない。だからこそ、日銀はマイナス金利を導入した。

 金利が下げることは、お金を借りる人にはメリットになる。しかし、運用する側にとってはまさに“拷問”のような状況だ。これだけ金利が下がってしまうと、思ったような収益を上げることが難しくなるからだ。