大手通信キャリアよりも安い通信料金で使えるため、2015年に大きな話題をさらった仮想移動体通信事業者(MVNO)による「格安スマホ」。イオングループや楽天グループなど有名企業が参入して市場は成長を続けているが、一方で過当競争による価格下落を招いており、各社とも生き残りを懸けた差別化に挑んでいる。
楽天のMVNOサービス「楽天モバイル」は1月28日、1回5分以内の通話であれば、回数無制限でかけ放題となる新サービスを発表した。月額料金は850円で、すでに同様のプランを提供している大手通信キャリアに比べるとほぼ半額だ。家族で利用するなど幅広いユーザーを呼び込むために、データ通信のみならず、通話サービスにも価格破壊を持ち込んだ。
「電話をかけまくられたら赤字になるリスクもある。それでも通話サービスは顧客拡大の“最後の一押し”なのです」と、楽天モバイルの大尾嘉宏人事業長は話す。
また電話のかけ放題プランのみならず、旧来の携帯電話のように独自のメールアドレスを用意。さらにコストの掛かる直営8店舗を含めて、全国で100店舗まで売り場を拡大することも発表した。
すでに契約件数も30万件に近づいているとみられ、格安スマホ市場のシェア上位に食い込む楽天モバイル。しかし200社近くがひしめく業界全体は、価格競争による消耗戦が進んでおり、体力のないプレーヤーからは脱落組が出そうな様相を呈している。