市場混乱の引き金は欧州銀行の信用懸念
リスクオフで為替や債券にも波及

 今回、日銀のマイナス金利導入の効果に冷水を浴びせ、世界的に株式や為替などの金融市場を混乱させる引き金を引いたのは、欧州の有力金融機関であるドイツ銀行に金利支払い懸念の噂が流れたことだ。

 もともと、ドイツ銀行の収益は投資銀行部門などの不振もあり、2015年通年で68億ユーロ(約900億円)の赤字に陥っていた。それに加えて金融市場で、「ドイツ銀行は利回りの高いCOCO債の利払いができないのではないか」との噂が流れた。

 それをきっかけに、2月8日、同行の株は大きく売り込まれ、一時、前営業日対比で10%を超える下げとなった。それと同時に、ドイツ銀行以外の欧州地域の有力銀行の株式にも、売りが殺到する事態になった。

 その結果、欧州地域の株式市場は軟調な展開になり、その流れが米国やアジア地域の株式市場にも伝播した。

 株式市場の大幅下落の流れは、為替や債券などの市場にも大きな影響を与える。株価の変動幅が拡大することで、為替や債券などの金融資産を保有することに係るリスクが高まるからだ。

 そうなると、投資家は保有する金融資産のリスク量を軽減する=リスクオフのため、価格が変動しやすい株式などを売り、相対的に安全性の高い国債や、安全通貨と言われる円などの保有額を増やすことになる。

 そうした世界的な金融市場の流れの中で、わが国の日経平均株価は2月9日〜12日の3営業日間に約2000円下げ、為替市場では2月に入って、1ドル=120円台から一時111円台へと大幅な円高になった。

 もう一つ注目すべきは、国債10年物の流通利回りが一時、▲0.035%とマイナスの領域に足を突っ込んだことだ。わが国も本格的なマイナス金利の入口に立っていることを意味する。