周囲からの厳しい視線を感じ取ってか、最近では「タダ乗り社員」のタダ乗りの手口が巧妙化し、「隠れタダ乗り社員」と呼ぶべき人種が闊歩し始めているという指摘が、世間のビジネスパーソンから出始めた。「隠れタダ乗り社員」とは、いったいどんな人々なのか。彼らに憤慨する周囲の訴えを交えながら、その生態を研究しよう。(取材・文/フリーライター・宮崎智之、編集協力/プレスラボ)
新手の厄介な人種が増殖中?
無駄に進化し始めた「タダ乗り」の手法
ロクに仕事をせず、職場で要領よく立ち回り、人の手柄を奪っていく――。そんな「タダ乗り社員」は、どこの職場にも絶対にいると言われている。当然、「タダ乗り社員」に対する批判は強く、一時は各種のメディアで取り上げられるなどして社会問題となった。
景気が良い時代だったら、「まあ、しょうがない」で済んだかもしれない。「そんなやつ、どの会社にも1人はいるよ」と。しかし、景気の先行きが依然として不透明な今のご時世では、そうもいかない。「なぜ、あいつだけがラクをしているのか」「なぜ、あいつの給料を払うために俺が働かなければいけないのか」。厳しい職場環境で働く同僚たちから不満が噴出するのは当然である。
しかし、そんな同僚たちからの反感を感じ取ってか、最近ではタダ乗り社員の「タダ乗り」の手口が巧妙化しているとの指摘もある。「隠れタダ乗り社員」と呼ぶべき人種が闊歩し始めているのだ。まるで厳しい環境を生き抜くために進化した生物のような「隠れタダ乗り社員」は、「明らかにタダ乗り」と見抜かれない術をムダに進化させ始めている。
「隠れタダ乗り社員」が厄介なのは、実際はタダ乗りしているにもかかわらず、周囲から「有能だ」と評価されている人が多いこと。「何かおかしいな」と思っている周囲の人々も、その手口が巧妙であるために、「タダ乗り」の決定的な証拠を掴めない。結果、社内で疑問を訴えても、取り合ってもらえないことが多いのだ。いつの間にか職場には白けたムードが広がり始め、同僚たちがやる気を失い、部署の業績も下降線をたどり始める――。これでは、そんな悪循環に陥るケースも少なくなかろう。
新たな「厄介な人種」としてその存在が問題視され始めた「隠れタダ乗り社員」について、考察しよう。