復活をけん引してきた中西宏明会長は、今後は国内外の政府関係者との交渉などを担う Photo:REUTERS/アフロ

 日立製作所が大幅な組織変革に乗り出す。日立といえば、2008年度に計上した7873億円という巨額の最終赤字から、徹底した構造改革により、電機業界でもトップクラスの利益体質へと復活を遂げた。

 だが、今回の改革では、復活を引っ張ってきた体制を一気に変革する大きな一歩を踏み出した。

 まずは、中西宏明会長が2年間兼務したCEOを外れ、東原敏昭社長が就任することになった。中西氏は、09年度から前会長の川村隆氏と共に復活劇をけん引してきたが、意思決定からは退く。

「一頭体制にして意思決定を迅速化する。ラストマンは、東原だ」(中村豊明副社長兼CFO)

 変革は、CEO交代だけにとどまらない。構造改革を担ってきたカンパニー制が廃止される。

 代わりに導入されるのが、金融や流通、電力など顧客の業界別のビジネスユニット(BU)制だ。

「前はカンパニー制といっても工場文化だった。今後は、日立全体の制御とITを融合させていく」と、中村副社長は説明する。一つの顧客に対して、別々のカンパニーが製品を売り込むのではなく、日立全体の製品サービスを提案する体制に変える仕組みだ。12のBUは全て、トップが社長の直轄となり、名実共に東原体制が整う。