イチゴといえば、乙女チックなアイコンの代表格だが、実は男性の性機能の健康に寄与するらしい──米国の臨床栄養学専門誌に掲載された報告から。

 野菜や果物に含まれる抗酸化物質「フラボノイド」は健康に良いことが知られる。なかでも、イチゴやブルーベリーに含まれる「アントシアニン」、オレンジやミカン、グレープフルーツといったかんきつ類に含まれる「フラバノン」と「フラボン」は男性の健康的な勃起と維持に役立つという。

 研究者らは、米国の男性医療従事者を対象とした長期の健康調査の参加者に対し、2000年から4年ごとに勃起の状態と果物、野菜の摂取状況を質問。回答があった2万5096人を追跡調査している。対象男性の年齢は50代前半~70代前半。いろいろと微妙なお年頃である。

 ちなみに、勃起状態に関する質問は「性行為を行うのに十分な勃起を得られ、かつ勃起を維持できるか」である。回答は「very poor」「poor」「fair」「good」「very good」の5段階。このうち「very poor」と「poor」を勃起障害(ED)とした。追跡期間中、約35%がEDを自覚していた。

 生活習慣病などED発症に関連する他のリスク因子の影響を排除して解析した結果、果物の総摂取量が多い男性ではEDリスクが14%低下していることが判明した。

 特にフラボノイド豊富なベリー類、かんきつ類の摂取量が多く、定期的に運動する男性のEDリスクは、21%低下していたのである。

 研究者は「アントシアニンおよびフラバノン、フラボンを多く摂取するとEDリスクが9~10%は低下する」とし、その効果は「週に2~5時間のウオーキングに匹敵する」という。

 一時のED治療薬ブームは去ったが、男性機能の回復をうたうサプリメントには事欠かない昨今。ただし、「いかにも」なサプリの効果には確固としたエビデンスがない。常用すると思春期の娘に白い目で見られそうでもある。

 一方、ベリー類となれば話は別。週に2~3回、イチゴなどの「赤い果物」とかんきつ類を手土産にするのはどうでしょうか。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)