人は完成品よりも未完成品に魅かれる
「ツァイガルネック効果」

ツァイガルネック効果とは、目標が達成されていない課題や、中断された課題に関する記憶は、目標が達成された課題に関する記憶よりも想起されやすいという効果です。心理学者ブルーマ・ツァイガルニックが提唱しました。

ツァイガルネックが行った一番単純な実験は以下のようなものです。
被験者となる学生を集め、何かの問題を解いてもらいます。そしてそれを途中で中断します。多くの学生役は、すでに解いてしまった問題についてはほとんど忘れていたのに対し、解きかけの問題については非常によく覚えていたのです。

マーケティングでは、図表に示したように、「途中で終わったこと」「未完のもの」「プロセス途上のもの」の方がかえって印象が強くなる人間の性向として知られており、さまざまなシーンで活用されています。

メイキングのビデオなどに人々が関心を持つものツァイガルネック効果によるものですし、有名ではなかった役者やグループが大物になっていく様子をファンが楽しむのもツァイガルネック効果の応用と言えます(例:AKB48グループやモーニング娘。など)。

より卑近な典型例は、テレビの番組です。連続ドラマであれば、最後のシーンが、次回を面白い展開を想起させるものであれば、人々はそれを強く記憶に残します。バラエティ番組などで、「続きはCMの後で」などとテロップが入ったり、映画館の広告で、印象的なシーンを抜粋して全体の物語を想起させたりするのもそうした事例です。

こうして人々に強い印象を残すことで、企業は顧客の関心を引きつけているのです。

繰り返しになりますが、マーケティングは、オーソドックスなフレームワークも大事ですが、ちょっとした人間心理やその傾向を知り、プロモーションなどに活用することも大事な分野です。
ビジネスリーダーを目指すのであればその両方をしっかり理解しておきたいものです。