これからのLINEに必要なものは何だと考えますか?
川村 ITの企業は、アップルもグーグルもマイクロソフトもフェイスブックも、それぞれの個性を持っているところがすごいと思うんですが、LINEがそこに並ぶために、今、何が必要だと感じていますか?
舛田 どちらかというと存在感の話になりますね。時代もユーザーも変化する中で、明快にニーズがあって、足し算での利益は出そうでも、掛け算にならないならやらない。さんざんプランしても、「今のLINEは掛け算になることをやる時期だよね」ということで、最後の最後でボツにすることもあります。
川村 今のLINEには決定打しか必要ないし、そうじゃないと存在感を出していけないということですね。ちなみにLINEは最近、ゲームにも力を入れていますね。
舛田 日本のインターネットの会社で「これしかやっていない」というところは少ないと思います。DeNAもモバゲーでゲームをやり出す前は、SNSやECをやっていましたし。
川村 ただ、LINEが日本だけで6800万人のプラットフォームになってしまった今、簡単に会社のサービスを変えますとは言えないでしょう?
舛田 そこはあまりこだわりがないんですよね。取材に来る記者の方にも「今日はやらないと言っていても、明日はやると言うかもしれないよ」と伝えています。流れが来たときにどうあるかを大事にしたいですね。
川村 僕も最近、「優柔不断」をテーマに生きています。やわらかいということが、すごく大事な時代だと思うんです。固くなった瞬間に、逆にいろいろな判断を誤る。昔は一本道で突き進むのが美しいとされてきましたが、今はそれだと変化が激しいから、世の中とも人ともコミュニケーションがとれなくなる気がします。
舛田 偶然ですが、私も社員に「朝令暮改、上等」と言っています。インプットされる情報が変われば、こっちも変わらなければおかしい。私たちは昔から事業計画も立てないんですが、硬直化を避けるという意味もあるんです。一度計画を立てて、どこかに向かって進もうとすると、すべてのズレが悪になる。必要なノイズも聞かないようにしてしまうんですよね。いずれにしても、一度下した判断でもいつでも変えるというスタンスが一番リスクがないし、後出しジャンケンも含め選択肢が増えるはずです。