沖縄はかつて長寿県といわれていた。高血圧や糖尿病の患者も少なかったのは、野菜の摂取量が多く、醤油をあまり使わず、漬物を食べる習慣がなかったことなど塩分摂取が少なかったから、といわれている。

 残念ながら、現在の沖縄は長寿県ではない。原因の一つは米軍統治下にもたらされたスパムなどの加工肉に代表される脂質と塩分の多い米国型の食生活といわれている。平成24年国民健康・栄養調査によると野菜の1日の摂取量も男性で275グラム、女性が246グラム。男女共に摂取量1位である長野県の男性379グラム、女性365グラムと比べるとその少なさがよくわかる。ちなみに長野県は現在、一番の長寿県である。農作業などで体を動かす人が多いのも理由だが、人を長生きにするのも短命にするのも食なのだ。

 岸朝子は日本の食の未来に警鐘を鳴らしていた。「おいしゅうございます」という言葉には食べ物と作り手への感謝、命そのものへの感謝の気持ちも込めていたという。その言葉が多くの人の心に響いたのは、それが失われつつあったからかもしれない。

参考文献:
『このまま100歳までおいしゅうございます』
『老いは楽しゅうございます』
(共に岸朝子著)