いよいよ民主党政権が初めて一から手掛ける予算編成が始まった。民主党政権はこの6月に、中期財政フレームを含む「財政運営戦略」を閣議決定し、そのベースとなる「経済財政の中長期試算」も公表した。そこでは平成23(2011)、24、25の3年度は、国債費除く一般会計に、71兆円という上限をはめたほか、23年度については一律1割カットと1兆円以上の特別枠を設けるという方針を打ち出した。日本は過去何度も財政再建にトライしたが、いずれも失敗。一方で、予算の大胆な組み替えもままならず、硬直化が指摘されて久しい。どうすれば、このような問題を解決できるのか。予算制度に詳しい元一橋大学准教授の田中秀明氏に、予算編成プロセス改革の方向について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 原 英次郎)

たなか・ひであき/1960年東京生まれ。85年東京工業大学大学院修了(工学修士)後、旧大蔵省(現財務省)入省。1991年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス修了。外務省、内閣官房等を経て、2007年から2010年まで一橋大学経済研究所准教授。専門は、公共政策・マネジメント、予算・会計制度、社会保障政策。

――日本の予算編成プロセスにおける基本的な問題は何でしょうか。

 日本の問題に入る前に、なぜ財政赤字は増えるのかという問題を考える必要があります。そもそも政府部門には赤字を拡大させる潜在的な要因が備わっていることが問題です。政府の予算というのは、税金という人のおカネを使うものです。例えば、だれかが今日の宴会は「オレのおごりだ」と言ったら、みんなはそれならばと、高いものを注文してしまうでしょう。自分のおカネだったら、自分の財布と相談して決めます。