「就労指導をサボってパチンコ」
ケースワーカーとして、どうする?

 別府市の「生活保護でパチンコ」へのペナルティをレポートした本連載の一連の記事には、「ギャンブルだからいけない」という意見が数多く寄せられている。この点はどうだろうか?

「“ギャンブル”といわれるものに過剰にお金を使うことが望ましいか望ましくないかと問われれば、『堅実とは言いがたく、望ましくない』です。生活保護法第60条には、被保護者の『生活上の義務』として、支出の節約が挙げられています。しかし個々の事情を見ると、時折のパチンコ・競馬・賭け麻雀が生活の励みになっている人もいます。難しい問題です」(石原氏)

 生活保護法第60条に定められている「生活上の義務」は、「支出の節約」だけではない。「能力に応じて勤労」「健康の保持及び増進」「生計の状況を適切に把握」も含まれている。「義務」といっても努力義務であり、罰則があるわけではない。しかしケースワーカーも、処分の対象でないからといってニコニコしていられるとは限らない。

「稼働年齢層で、通院しているわけではなく就労が可能で、就労指導を行っていて、求職状況についての報告を求められているにもかかわらず、報告を怠る方はいます。そういう方がパチンコ店でギャンブルに勤しんでいる場面を見たら、あまり良いイメージは持ちません」(石原氏)

 ムカつき、あるいはイラっとし、モヤっとするのが当然であろう。とはいえ、「ケースワーカーとして何をすべきか?」が問われるのは、そういう場合だ。

「私たちに求められているのは、法令や要綱に則り、生活保護利用者の方々へ公平に接しつつも、それぞれの方の個別性にも着目して支援を行うことです。たとえば『就労活動をサボっている生活保護利用者がパチンコを楽しんでいるのを見てしまった』というとき、『生活保護なのに』『しかも就労指導をされているのだから』というふうに、就労可能な生活保護利用の方々を一括りにして論じたり考えたりはしません。あくまで、個々の事情を考慮することの意味は、その個人の事情を把握して判断することに他なりません。ある方の『生活保護だから』を、同じように他の生活保護の方に援用すると、誤った前提のもとにケースワークをすることになります。すると、結果として、誤った援助や支援になりがちです。お一人お一人の個別性があり、異なる前提があるわけですから」(石原氏)

 では、金銭管理の問題はどうだろうか? ギャンブルは実際に、生活保護利用者の一部に対して「次の保護費支給日まであと20日あるのに、お金がまったくなくなった」といった問題を引き起こしている。ケースワーカーにとっては、いわば「自己責任」で浪費してしまった生活保護利用者の生存・生活を支えつつも、個人・各世帯の金銭管理の問題に踏み込まざるを得ない場面となる。実際のところはどのようなケースワークとなるのか、引き続き、石原氏に伺っていく予定である。

 次回は、「生活保護とパチンコ」の話題をいったん中断し、災害と生活保護について、東日本大震災直後、多重の困難に突然見舞われた数多くの人々の経験から、まだ継続している熊本地震に際し、何がどのように行われる必要があるのかを考えてみたい。