若者の地方移住志向が急激に高まっている。NPO法人ふるさと回帰支援センターに聞いた、都会を捨てて“移住したい”自治体の魅力とは。
ここ10年ほどの間に、地方移住希望者の層が変化しているという。かつては中高年のセカンドライフ移住がほとんどだったが、昨今、20代、30代の若者世代が急増しているのだ。
田舎暮らし希望者への移住相談を行っているNPO法人ふるさと回帰支援センターの調査を基に、その実態を探っていこう。
「リーマンショックで、東京に仕事がないから地方へという消極的な移住が増え、総務省の『地域おこし協力隊』、農林水産省の『田舎で働き隊』という制度がそれを助けた。そして東日本大震災が起き、小さな子どもがいる首都圏のファミリーが、疎開的に移住をしました」と、同センターの嵩(かさみ)和雄副事務局長は語る。
「そして今、自分の人生をよく考え、地方暮らしをポジティブに志向する若者が増えた。東京に出ていい大学に行き、一流企業に就職して一生裕福な生活を送るという成功モデルが崩れ、若い人の価値観が変わってきたのでしょう。首都圏の優秀な若い人ほど、地方の方が可能性があるし、より良い環境の中でより自己実現ができると気付いたのです」(嵩氏)
2015年は地方創生元年といわれる。きっかけは14年に日本創成会議の増田寛也座長が「40年までに896の自治体が消滅する」と予測した、いわゆる「増田レポート」だ。安倍政権は秋の臨時国会を「地方創生国会」と位置付け、地方創生政策に多額の予算が付いたため、地方自治体のUIターン誘致活動が一気に活性化した。
東京・有楽町にある同センターには、14年まで5県が移住相談窓口を設けていたが、15年は一気に29県に増加。相談者の数も前年の2倍近い2万人以上に増えた。
下の移住希望地域ランキングは、同センターに相談に来た人を対象にしたアンケート結果だ。嵩氏にそれぞれ解説してもらった。