女性の社会進出が急速に進むなかで、結婚、出産の年齢が遅くなっている。厚生労働省の人口動態統計によると、35歳以上49歳以下の母親から生まれた子どもの人数はおよそ23万人(2008年データ)に。一年間で生まれた総数が109万1156人のため、約2割が高齢出産で生まれた子どもたちとなる。

 男性なみに仕事をしてきて、ふと気づくと30代。いずれ結婚をしたいと考えているが、それ以前に「結婚したのち、子どもが産めるのだろうか」と漠然とした不安を抱えている女性は少なくない。そのため婦人科検診を受けて、自らの体の状態を把握しておきたいという“産活”女性がジワリと増えているようだ。

「忙しい女性は、検診に行く時間も取れないのが実情。ホテルの宿泊とセットにすることで、レディスプラン感覚で利用してもらえれば」(ホテル西洋 銀座マーケティングマネージャー・田渕美千枝氏)と話すように、東京・銀座の「ホテル西洋 銀座」では、昨年11月から婦人科検診と宿泊をセットにしたプラン「Recharge」(リチャージ)を販売している。

 ホテルからほど近い、ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニックと提携しており、チェックイン日もしくはチェックアウト日に同クリニックで約2、3時間の検診を受けるという内容で、プレ更年期ウェルネスドック(30~40代向け、11万円)は、問診票を基にした総合健康相談や子宮頸がん検診、経膣超音波、マンモグラフィー、甲状腺機能、尿検査、骨密度など、通常の健康診断プラスαの検査が受けられる。

 またホテルでは、同クリニック監修のもとでデトックス効果を重視して開発した、ディナーメニューを楽しめ、朝食も人参とセロリのフレッシュジュースや全粒粉のトースト、緑黄色野菜やイソフラボンなど、女性の体に必要な栄養素を取り入れたものを用意し、ホテルならではのリラックスした時間を提供する内容になっている。

 同プランは、差し迫っていまは不調があるわけではないけれども、自分の体のことを知っておきたい。検診のついでにゆったりとした時間を過ごして体も心もリセットしたいという利用のされ方が目立つ。9万~13万円と高額なプランにもかかわらず、半年間で10組以上が利用しているという。

 そのほか、生理日予測や、排卵予定日、基礎体温の管理などができる、女性のための携帯サイト「ルナルナ」も、有料会員が6月時点で170万人を突破。身近な携帯電話というツールを通して、自身の体の管理をし、将来に備えておきたいという女性の意識が透けて見える。

 このような時流から、DgSを筆頭に、H&BCを軸とした売場構成で女性客をメーンとしている小売業にとっても、産活を含め、更年期障害に備えた体のケアなど、女性の体のサポート機能を持つことは、顧客化の一つの武器になるだろう。


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