生活保護世帯も義援金を受け取れるが
「自立更生計画書」は必要

 まず、生活保護制度の公式ルールブックである「生活保護手帳」を見てみよう。最新の2015年版を見てみると、「保護の実施要領 第8 収入の認定」に、「収入として認定しないものの取扱い」がある。収入として認定されると、生活保護利用者の手元には残らないことになる。もしも「生活保護世帯が義援金を受け取ったら収入認定される」のであれば、受け取っても意味はないということになる。

 しかし、そこには、収入として認定しないものが17項目にあたって列挙されている。17項目のうち災害に関連するものは、

「ア 社会事業団体その他(地方公共団体及びその長を除く。)から被保護者に対して臨時的に恵与された慈善的性質を有する金銭であって、社会通念上収入として認めることが適当でないもの」
 「オ 災害等によって損害を受けたことにより臨時的に受ける補償金、保険金または見舞金のうち当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額

 の2項目だ(太字は筆者による)。この2項目のいずれかに該当すれば、義援金は収入認定されず、全額を生活保護世帯の生活再建に活用できることになる。

「本来、義援金や見舞金は、『ア』の方に該当するものですから、無条件で収入認定除外すべきであると考えています。阪神・淡路大震災の際、第1次義援金10万円はそのように取り扱われました」(觜本さん)

生活保護なら義援金は受け取れない、は本当か厚労省が用意している「自立更生計画書」のフォーマット。生活再建のために何にどの程度の費用が必要か、概算でも記入して提出することが、義援金・補償金などを受け取る生活保護世帯に求められる
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 しかし東日本大震災以後は、「自立更生計画書」が必要になった。上記「オ」の方に該当するものと考えられるようになったのだ。生活保護世帯だからといって収入認定すれば、「被災者の方々のために」という志で集められた義援金を、国が吸い上げてしまうのと同じことになる。しかし「無条件でOK」ということにもしたくない……という厚労省の苦悩の表れだろうか?

 福島県で、原発事故による避難事例も含め、被災した生活保護世帯多数を支援してきた倉持さんは、

「東日本大震災では、義援金も、東京電力の賠償金などの補償金も、生活保護世帯では『自立更生計画書』の提出が必要でした。ただ、厚労省の用意したフォーマットに『避難費用 ○万円』『進学費用 ○万円』のように、ざっくりと記載されたご家庭も多かったようです」

 という。いきなりの地震・津波・原発事故、そして避難を余儀なくされる状況の中で、「何に何円必要」と細かく考える余裕は、生活保護の利用の有無にかかわらず、誰にもなかったであろう。