だから北米、EU、中国に輸出できる
安心安全を支える一貫生産

 生産者ごとに単独で養殖を行うと品質にムラが生じる。

「世界に打って出るためには、生産者全員が一定して、高品質・安全なブリを出荷しなくてはならないと考えました」と中薗さん。

 東町漁協が稚魚の手配、餌の調達、養殖のすべての段階において主導となって管理し、年間を通して「高品質のブリを均質に養殖、出荷する」体制を整えた。他に例をみない先進的な、品質管理システムだ。

 北米輸出には食品衛生管理システム・HACCP認証が必要になった。そのためにもトレーサビリティは完璧でなくてはならなかった。

 そのために策定したのが「ブリ養殖管理基準書」だ。種苗、いけす、餌、病気、投薬、環境、出荷にいたるまでを細かく定め、生産者全員に徹底するよう指導。独自でトレーサビリティステムを開発した。

 この規格にそったブリを、平成17年に商標登録した「鰤王」ブランドの名で出荷する。

 よって、出荷までのすべての段階で漁協の管理は徹底している。

品質の統一化に向けて開発された漁協オリジナル飼料「鰤王EP」「鰤王マッシュ」

「毎年、組合員が4月に稚魚となるモジャコを種子島、屋久島沖まで獲りに行きます。これは全部漁協が引き取り、いけすで一括集荷し、雑魚選別をしてから生産者に配布します。餌も漁協から配布します」(中薗さん)

 その餌も品質の統一化のために、高知大学との共同研究により開発したオリジナル飼料「鰤王EP」「鰤王マッシュ」を開発。生産者全員がこの餌を使う。

 ブリの健康状態も漁協で管理する。全国に先駆けて、営漁指導部門を独立した課にした。

「魚類防疫師、薬剤師の職員がいますので、ブリに異常があった場合は、こちらからワクチンや薬を出します」(中薗さん)

 さらに、漁協内には「品質管理室」を設置、生産記録管理のためのシステムを導入した。「ブリ養殖管理基準書」にそって、生産者には飼育情報をすべて日誌に記録するように指導している。

 生産者には一人1冊、日誌が用意されている。1ヵ月分の日誌を提出のうえ、漁協で入力し一括管理。5年分のデータをストックしてトレーサビリティーシステムに反映する。漁場環境、餌、商品情報、検査データなどはいつでも開示可能だ。

「これがあってこそ、安心安全をみなさんに伝えられます」と中薗さん。

 そして育った魚を漁協が引き取り、加工し、出荷する。

 かくして東町漁協と生産者の地道な努力の結果、平成10年に、養殖魚において国内初の対米輸出HACCP認証取得。さらには15年に、対EU輸出水産食品施設認定取得。こちらも養殖魚として日本初だ。

 認証を受けた加工場からは1本まるごとの「ラウンド」、内臓や頭を取った「セミドレス」、三枚おろしの「フィレ」などを真空包装して輸出した。

 そのあとは対中国輸出水産食品施設登録。上海へ、そして続いて東南アジアへ輸出。さらに対ロシア輸出水産食品施設登録と次々と取得し、輸出をスタートした。現在、ロシアに輸出できるのは、東町漁協だけだという。