国連「持続可能な開発目標(SDGs)」採択から初の記念すべきサミットであった「G7伊勢志摩サミット」。そこで明らかになったのは、世界から取り残されかねない日本の姿だった。

「持続可能な開発目標」発効後初の
記念すべきサミットだったが…

日本の貧困対策「周回遅れ」が伊勢志摩サミットで発覚「G7伊勢志摩サミット」が開催されたた三重県賢島周辺

 2016年5月26日・27日、三重県で開催されていた「G7伊勢志摩サミット」は、「G7伊勢志摩首脳宣言(骨子原文仮訳)」を公開して終了した。

 今回のG7伊勢志摩サミットは、昨年(2015年)9月、国連が「持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable development goals)」を採択してから初のサミットという、重要な節目であった。  

日本の貧困対策「周回遅れ」が伊勢志摩サミットで発覚国連「持続可能な開発目標(SDGs)」ページのトップ。子どもを抱いた女性の左側に「尊厳ある人生を保証する」とある

 SDGsが「目標(ゴール)」である以上、期限がある。目標を達成する期限は、約13年半後の2030年。すべての国々は、普遍的に適用されるSDGsにもとづき、

「すべての国々に普遍的に適用されるこれら新たな目標に基づき、各国は今後15年間、誰も置き去りにしないことを確保しながら、あらゆる形態の貧困に終止符を打ち、不平等と闘い、気候変動に対処するための取り組みを進めることになります」〈国連広報センター:持続可能な開発目標、2016年1月1日に発効(概観)、※太字は筆者による〉

 という方針に対して、具体的な取り組みを開始することになる。

 もちろん日本も、SDGsは大いに意識しているはずだ。伊勢志摩サミット公式サイトにも、

「・開発
G7伊勢志摩サミットは「持続可能な開発目標(SDGs)」を中核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の採択後初めてとなるサミットです。今後のアジェンダの実施には、民間・市民社会を含むあらゆるステークホルダーが参加するグローバル・パートナーシップが不可欠です。」(G7伊勢志摩サミット主要議題

 という記載がある。ただし私は、世界経済・政治・外交・気候変動・エネルギー……と独立した課題であるかのように「開発」という項目があり、そこでSDGsが軽く触れられている扱いに違和感を覚えなくはない。なぜならSDGsは、保健・格差・貧困など世界のありとあらゆる課題を包括的に「つまみ食い」せず解決するための目標だからだ。

日本の貧困対策「周回遅れ」が伊勢志摩サミットで発覚首相官邸の「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」ページ(左)と、G7伊勢志摩サミットwebサイトのトップページ(右)。やる気の差が見た目の差に現れているのではないことを期待したい
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 今回は17項目の目標のうち、本連載のテーマとも密接に関係する最初の3項目、

・あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を
・(前略)食料の安定確保と栄養状態の改善を達成する(後略)
・あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進

 に関して、「G7伊勢志摩首脳宣言(骨子原文仮訳)」を、「認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい(以下「もやい」)」理事長・大西連さんにお話を伺った。