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「社内特区」の設定で
新事業への挑戦をはじめよう

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第57回】 2016年6月10日
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 インキュベーションの具体的な内容には、資金的、制度的、ハード的、ソフト的な支援があり、事業の成長過程(準備、事業化、運営の各段階)ごとにさまざまな施策が考えられる(図1)。社内ベンチャー支援制度やビジネスアイデアの社内公募制度などを施行している企業は少なくない。しかし、これまでの取り組みでは、アイデア創出などの準備段階の支援に重点が置かれ、事業化やビジネス運営の段階まで考慮されていないケースも多かった。また、国内においては資金やハード面の支援に比べて、各種ノウハウの提供、パートナーや顧客の紹介といったソフト面の支援が十分でない傾向があるといわれている。

 三井不動産は、2016年2月に独立系ベンチャーキャピタルと共同で総額50億円のCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)ファンドを設立すると発表した。対象地域は、日本だけでなく、北米、欧州、イスラエル、アジア諸国としており、重点投資領域は自社のコア事業となる不動産分野だけでなく、IoT、セキュリティ、環境およびエネルギー、シェアリングエコノミー、Eコマースおよびフィンテック、ロボティクス、ライフサイエンスと幅広い。今後、一般の事業会社において、社内ベンチャー支援制度の再構築やCVCの設置の動きが活発化することが予想される。

イノベーション特区の考え方

 既存企業が新規の取り組みを推進する際には、社内の慣行やルールを一部打破したり、特別な対応が求められたりする場合がある。従来の進め方やルールに忠実に従っていると、事業化のスピードが阻害されたり、外部の柔軟な活用が進まなかったりするためである。これに対して、昨今では社内にイノベーション特区を設けるべきという意見が出てきている。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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