燃費不正問題の直前に打ち出していた
国交省などによる燃費試験の国際標準化

 結局、現行システムを維持したまま税の公平性を保つには、燃費審査値の不公平性を正す、言い換えれば、より実際の燃費に近い数値になるような試験方法に変更するしかない。折しも三菱自の燃費不正が明らかになる直前の3月、国土交通省と経済産業省は、現行のJC08モードベースに代わる新方式の計測方式を2018年に導入するという方針を打ち出していた。

 その新しい試験法はWLTP(*)と呼ばれるもの。これまで燃費審査のための走行パターンは、日欧米をはじめ世界各国で異なっており、自動車メーカーはどこも仕向地別のテストでてんてこ舞いになっていた。規制値はともかく、テスト方法だけでも世界で統一できれば、その手間がだいぶ省けるという発想で生まれた世界標準のテスト方法である。

 現在のJC08モードに比べてエンジンが冷えきった状態で走る距離の比率が高く、燃費の押し下げ要因となる。車両重量もJC08モードが2名乗車を想定しているのに対し、WLTPはさらに多人数が乗ったり荷物を載せたりすることもあるだろうという想定で、重めに設定される。エアコンや電装品の負荷もある程度考慮される。国交省関係者はこのWLTPの採用によって、カタログ燃費が実際の燃費に近づくと胸を張る。

(*)Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedureの略

国際標準の燃費試験を導入しても
納得感のある燃費値にはならない

 ここで重要な点であるが、本当にWLTPに切り替われば、多くの顧客が納得するようなカタログ燃費値になるのだろうか。国交省は検証のために現在販売されているクルマをWLTPに準拠した試験にかけ、その結果も公開しているが、それを見る限り答えは完全にNOだ。

 WLTPの中身を見てみると、これまでのJC08モードより多少負荷が高くなっているものの、クルマの持っている性能をきちんと図るという主旨からは、依然としてかけ離れているからだ。

 試験中の加速度はJC08モードが1秒間に5.5km/h、つまり10秒かけて55km/hに達するペースが最高であるのに対し、WLTPは5.7km/hと、ほとんど変わらない。最大加速度の継続時間が多少延びているくらいである。