2016年1月、アメリカの名門大学の1つとして知られるスタンフォード大学の構内において、22歳の女子学生を暴行した容疑で大学の水泳部に所属するブロック・ターナーが逮捕された。ターナーは酩酊状態の女性に性的暴行しているところを、スウェーデン人の留学生2名に発見された。2人の留学生は女性が意識を失っていると思い、すぐに女性のもとに近づいたが、ターナーはその場から逃走を図った。留学生はターナーを追いかけ、2人でターナーの身柄を取り押さえた。その際に付近にいた2人の別の学生もスウェーデン人学生に協力している。

 被害者の女子学生は病院に運ばれ、ターナーは現場に駆け付けた警察によって逮捕された。酩酊状態が原因で、被害者女性は数時間ほど救急隊や医師の問いかけに応答できなかったが、病院で意識を取り戻している。逮捕されたターナー被告が、その後のDNA検査によって、被害者女性の局部に指を挿入していたことが判明。検査結果が出たことで、容疑はレイプから性的暴行に切り替えられた。

 裁判が開始されると、保護観察官は「厳しすぎない量刑」を考慮すべきと主張した。ターナー被告は性的暴行など3件で起訴されており、最大で14年の禁固刑が科せられる可能性もあったが、検察側は6年の禁固刑を求刑した。そして、6月にカリフォルニア州サンタクララ群の上位裁判所で、アーロン・パースキー裁判長が判決を下したが、その内容は禁固6ヵ月と3年の保護観察というものであった。

 判決前に裁判所で陳述を行ったターナー被告の父親は、息子に前科がなかったことを強調し、「わずか数十分の行動によって、すでに十分な代償を払わされている」として、判決に一定の配慮を求めた。パースキー裁判長も判決後に「長い量刑によって、被告の出所後の社会生活にも変化が生じてしまうことが懸念される」として、半年の禁固刑の正当性を主張した。被害者の感情を無視したような父親の言葉と、最終的に6ヵ月にまで短縮された刑期の短さに多くの市民が憤慨。ネット上ではパースキー裁判長の解任を求める運動が始まったほか、今月2日には被害者女性が法廷で朗読した証言にコピーがバズフィードに掲載され、現在までに1700万人以上が閲覧している。

ワシントンポストが伝えた衝撃のデータ
キャンパス内での性的暴行は珍しい話ではない

 スタンフォード大学で発生した性的暴行事件は、刑期の短さなどもあって、多くのアメリカ人の関心を集めたが、アメリカの大学ではどのくらいの性暴力が発生しているのだろうか? 2015年9月、ニューヨークタイムズをはじめとするアメリカの主要メディアが、「アメリカの4年制大学のキャンパス内で、4人に1人の女子学生が性犯罪に遭った、もしくは遭いかけた」と報じた。これは全米大学協会の調査結果を受けての報道であったが、最大で25%の女子学生が大学の構内で性犯罪に直面しているという現実は十分にショッキングなものであった。