2010年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」では「ストック重視の住宅政策への転換」がうたわれている。その実現のため「中古住宅流通・リフォーム市場の規模倍増」が目標として掲げられた。しかし、リフォーム市場だけとっても、20年までに今の市場(約6兆円)を倍増させ、12兆円にまで育てるのはかなり高いハードルだ。そこで「市場を拓く切り札」と目されている住宅瑕疵保険について、住宅瑕疵担保責任保険協会の峯村榮会長に聞いた。
事業者が申し込む
任意保険だという前提
リフォーム工事や中古住宅売買に関する住宅瑕疵担保責任保険法人は、現在6法人ある。もともとは新築住宅の瑕疵保険を引き受けるため、国土交通省から指定された法人だ。
そこへ昨年10月、住宅瑕疵担保履行法が本格施行され、新築住宅では、住宅事業者が引き渡した住宅の瑕疵担保責任を確実に履行するため、保険に加入するか、保証金を供託することで資力を確保することが義務付けられた。そして今春、リフォームおよび中古住宅売買の分野においても、瑕疵保険がスタートした。
新築と、リフォームや中古住宅売買との違いは、前者が義務、後者が任意で加入することだ。
「現在は各法人とも、この保険制度の適切かつ安定的な運用を通じた信頼性の向上に努め、リフォーム・中古住宅売買分野では保険商品のラインナップがだいぶ充実してきました。任意保険は、その分バラエティがあり、価格、検査のタイミングや回数、保険がカバーする範囲など、よく研究してつくっているようです」(峯村会長)
リフォーム瑕疵保険は工事を請け負う事業者が申し込む。すると保険法人は、建築士の資格を持つ検査員による現場検査を実施する。これに合格しなければ保険の加入はできない。合格して保険加入できれば「保険付きリフォーム」として、消費者に安心を提供できる。
中古(既存)住宅売買では、売り主(宅建業者)が申し込む。こちらも建築士による検査と保険がセットになっている。
個人間売買の場合、個人の売り主に長期間の瑕疵担保責任を負わせることは現実的でないため、検査を実施する検査機関が瑕疵発生時の買い主の損害に対する保証責任を負うかたちとなる。
いずれの保険も、引き渡し後に瑕疵が見つかった場合、工事業者や宅建業者、検査機関に瑕疵の補修費用が保険金として支払われる。万が一、事業者が倒産等で瑕疵の補修ができなくなったときは、消費者に直接保険金が支払われる仕組みだ。