個人や地域の力で危険なブロック塀を撤去

 とはいえ、暗い話題ばかりではありません。地震で他者の命を奪うことがないよう個人で塀を撤去、改修をした方や、助成金を使わなくても、地域の力で危険なブロック塀を撤去したところもあります。

 こちらは大谷石の補強工事。東日本大震災で倒れかかった思い出のある大谷石を、きちんと鉄筋をいれたうえで、改修された写真。大切なものなら、お金をきちんとかけて、安全にしてあげる。通行人に対する優しさが嬉しいです。

左が東日本大震災直後、東京都下の住宅の大谷石塀。よく見ると、電柱側に倒れ掛かっている。右が鉄骨で補強し、積みなおした大谷石塀(写真提供:GLホーム/霧生秀一氏)

 10mのブロック塀は10万円あれば撤去できます。世田谷区の若林地区では、PTAや地域のみなさんが協力し、通学路にあった気になるブロック塀を撤去しました。

 ブロック塀撤去の助成や緑化助成がなくても、地域によっては地元木材をつかうと助成金がでる場所があります。

 2011年1月に開催された地域おこしのプランニングコンテストで、「やっかいもの扱いされる杉を有効利用して、ブロック塀をおしゃれな塀に変える」プランをだしたところ、準優勝をいただきました(防災に関心が薄い時期だったので、準優勝だったかなとひそかにに思っている)。

 その時、杉の有効利用は大変なんだと審査員の方にたくさんつっこまれました。特に、山から運ぶのに費用がかかるということでした。でも、プランに興味をもってくださった建築事務所の方が、杉塀を施工主さんに提案してくださって、私は杉の調達を実験してみたのですが、びっくりです。今は宅配便で運べるから、山から送料2000円で配送できちゃいました。

 できないと思う既成概念が杉の有効利用を難しくしている事例もあるのかもしれません。その後、東日本大震災が起こり、ブロック塀を地元材の塀に変えるプランの実践が滞っていますが、一緒に取り組みたい建築関係の方がいらっしゃったらwelcomeです。

 嬉しい取り組みはまだあります。宮城沖地震で同じ登校班だった方がいた埼玉県の講演では、その方が、講演後に意見を言ってくださいました。宮城県では、1978年以降、ブロック塀撤去に取り組んできた。でも、ここに引越したら危険な塀だらけだった。地震に対する意識が薄いのかと不安になりますと。

 すると、参加者でもあった中学校の校長先生がすっと立ち上がり、おっしゃいました。「本当に学校のまわりは危険な塀だらけだ。ここにいるみなさんの力で、なくしていきましょうよ!」と。

 会場には、乳幼児連れのパパママ、学校PTA関係者、子育て支援者、公民館館長さん、消防団員と地域のいろいろな方がいらっしゃったのですが、満場一致の拍手がわき起こりました。

 いまでも、思い出すと鳥肌がたってしまいます。

 危険な塀について、撤去できない理由は聞き飽きたので、もういりません。実際にこうすれば撤去できたよ! そんな事例を共有できる方のご意見だけお待ちしています! 一緒にミステリーゾーンバスターズになりましょう。

(アウトドア流防災ガイド・あんどうりす)

アウトドア流防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』(バックナンバーはこちら)

あんどう りす/阪神大震災被災体験とアウトドアの知識を生かし、2003年より全国で講演活動を展開。当時、誰も提唱していなかったが、現在では当たり前になっている毎日のカバンを防災仕様にというアイデアを提案。とりわけ子育てグッズと防災グッズをイコールにしてしまうアウトドア流の実践的な内容が好評。楽しくてすぐに実践したくなる、毎日の生活を充実させるヒントがたくさんあると親達の口コミで全国に広まり、毎年の講演回数は100回以上。