まず訪日回数と旅行消費単価の関係である。訪日回数が4回目以上の訪日中国人の旅行消費額は高水準を維持、1回目も横ばいで推移しているものの、2回目、3回目のリピーターの消費額が減少している。4回以上も日本に来ることができる中国人は高所得層に属する日本ファンであり、為替変動の影響をそれほど受けないのかもしれない。これに対して、2回目、3回目のグループは、中所得層で円高・元安による消費予算減少が響いていると思われる。

 何を購入するかにも変化が見られる。高額商品であるカメラ、時計、家電製品などへの支出が減る一方で、化粧品、医薬品、トイレタリー製品への支出が増えている。さらに、ゴルフ場、テーマパークなどサービスに対する消費も増加傾向にある。

 円高で高額商品は割高になり、爆買いは一巡しつつある。その一方で、日用品、消耗品に対する人気は高い。「たとえその日用品が中国で生産されていたとしても、中国人は日本で販売されるものの方が品質が高いと信じている」(大手シンクタンク中国人研究員)とも言われる。サービスに対する支出の増加は、中国人の消費行動がモノからコトへと徐々に変化する兆しとも言える。

品質の高さをいかにして伝えるか

 英国国民投票におけるEU離脱派の勝利もあって、1ドル100円台前半の円高が長期化しそうだ。そうなれば訪日外国人数の増加のスピードも落ち、財布のひもも固くなるだろう。では、円高に対してどのような対応があるのだろうか。

 まずはインフラに当たる宿泊施設の整備・充実である。ホテルなどの客室稼働率は歴史的に見ても高い水準にあり、東京などでは予約が取れないという状況も発生している。つれて、宿泊料も上昇が続いている。円高と合わせると、訪日外国人にとってはダブルパンチだ。

「東京ではホテルの建設が増えているが、一段と円高が進んで訪日外国人の増加が腰折れすれば、供給過剰にもなりかねません。そうならないためには、いまある設備を有効活用する。現状では中小の旅館や民宿などにまで、インバウンド需要の恩恵が行きわたっているとはいえない。こういった中小の事業者は多言語対応まで手が回らない。例えば、タブレット端末やロボットなどITやAI技術を活用して、多言語サービスを提供するなど工夫や努力の余地があります」と、菊地氏は指摘する。