久保田 競
(Kisou Kubota)
京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。著書に、『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』『あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。

 お母さんの言うとおりの回数をマネられるようになると、わかってもわからなくても、「ワ、ワ」とか「パッ、パッ」とかいいながら、右の指と左の指とを1本ずつ出して見せます。

 同じ指で目を片目ずつさし、「お目め、お目め」「お目め1つ、お目め1つ」と言って示します。

 加えて2つと教えるのはまだまだ先のことです。

 階段の上り下りや、おんぶして歩いてやるときも、リズムをつけて「1、2、1、2」と歩いてやります。

 この同じものを1つ、リズムづけて、1と2とが何度もくり返されているうちに、赤ちゃんは1つと1つと、1、2がどうも関連がありそうだとわかってきます。

 赤ちゃんの両手にお菓子を持たせます。「1つ」「1つ」と言いながら、そして「1つちょうだい」と言って「1つ」とります。

赤ちゃんの頭で分析して、分類させるのです。

 洋服を着せるときも、「ボタンが1つ2つ、1つ2つ、1つ、たくさんあるネ」

 と言ってやり、靴をはかせるときも、「こちらの足の靴1つ、こちらに1つ」と言うようにします。

1、2、3、4を
数字だけ教えないように

 そして、ぬぐときには「2つとも上手にぬいでネ」とか、場所を変えて、時間をずらして2つを教えたりして、けっして1、2、3、4を数字だけ教えないように注意します。

 お母さんは「イヌ」と言ってネコをさして教えないから、赤ちゃんはやがて、どんな形のものでも「イヌはイヌ」と分類できるのです。

 ですから数字も、「数」を言えることより、数字であらわされるものの本質(数には単位がついていること)を知ってもらうのです。

「リンゴが2つ、ミカンが2つ」は、あくまでも違う種類のものが2つずつなのです。

1と2の違いを覚えるのは、言葉を使えないときに始めるのです。