明日投票が行われる参議院選挙は、選挙権が得られる年齢が引き下げられて「18歳以上」になる初の選挙だ。18歳・19歳の約240万人の若者たちが新たに有権者として加わることになり、彼らは投票所に足を運ぶのか、注目が集まっている。選挙権を得た若者たちは選挙に行こうと思っているのか? そもそも、日本の政治について、自分の持つことになった「一票」についてどう考えているのか? 博報堂ブランドデザイン研究所リーダーの原田曜平氏の声掛けにより有権者となった若者6人に集まってもらい、2016年夏の参議院選挙について思いを聞いた。
ズバリ、「あなたは選挙に関心がある?」
原田 まずは、それぞれ簡単に自己紹介からお願いします。
油井 私はアカペラサークルに所属していて、ボイスパーカッションを担当しています。
松林 高校時代には、「18歳選挙権」の実現をめざす団体に入って活動していました。いわゆる“18歳選挙ヲタ”で、ラブライブのヲタでもあります。
木下 僕は“仮面浪人”をして大学に入り直したので、学年は1年だけど、明日に20歳の誕生日を迎えます。アルバイトでは、キウイフルーツの販売をやっています。今までに10万個のキウイをカットしましたね。
釋 僕は北海道の旭川出身で、ディベートサークルに籍を置いています。実家は寺で僕は長男なので、ちょっとプレッシャーを感じています。
船田 私は神奈川の私立高校で水泳部に所属しています。この茶髪と日焼けした肌は、室外プールで毎週5回の練習を続けてきた賜物です。出身は栃木で、親元を離れて下宿しながら高校に通っています。
H 私は理系学部ばかりの私立大学に唯一開設された経営学部に通っていて、ちょっと肩身の狭い思いをしています。バドミントンのサークルに所属しているけど、まったくの初心者です。
原田 じゃあ、さっそくだけど、18歳から選挙権を与えられたことについては、素直にどう思っているかな?
油井 自分の周囲を見渡す限り、きっと選挙には行かない人が大半だと思います。安保法案反対で騒がれた学生グループ「シールズ」と同じ大学でキャンパスでも見かけるけど、冷ややかな目で見ている人のほうが多いですね。
松林 高校時代に入っていた団体も、投票率をもっと高くしたいという思いだけは「シールズ」と一致していたけど、デモとか他のことはまったく相容れなくて。「シールズ」のやっていることは、どこかチャラい感じがするんですね。
油井 友だちとの間で自宅に選挙のお知らせが届いたことは話題になったけど、行かないという人ばかりでした。みんな、バイトとか友だちとの遊びとかの予定を優先するみたいだし、私も自ら率先しては行かないと思う。単に、選挙のお知らせが届いたのを見て、自分も大人になったなと実感しただけでしたね。
木下 法学部に所属しているけど、僕のクラスでも選挙のことはあまり話題に上りません。
原田 友だちにキウイの話はするけど、選挙の話はしないわけだ。つまり、選挙はキウイに負けたと(笑)。
木下 あらかじめ選挙に関して、きちんと教えてもらったこともありませんし。僕が卒業した都立高校でも「主催者教育」という名称で選挙のことを教えていたのですが、先生が自分自身の個人的な思想を植え付けてしまわないように配慮しすぎて、システマチックな説明に終始し、あまり面白い内容ではありませんでした。