ANA客室乗務員12年。500万人のお客様から学んだ「気がきく人」の1秒の習慣。その業界でダントツの成果を上げている人に共通していたのは、ほんの「1秒」という時間の中で判断を下し、非常に「気がきく習慣」をいつも実行しているということです!
「あえて叱らない」ことが、
相手を成長させる
私があるセミナーに(受講生として)参加したとき、登壇していた講師のFさんから、とても印象に残るお話をうかがいました。
その方は、以前、コンサルティング会社に勤務していたのですが、当時は、就業規則に反して、こっそり「バイク通勤」をしていたそうです。
ところが、運悪くバイク事故でケガをして入院し、約1カ月間、会社を休むことになってしまいました。
出社後、部長に呼び出されたFさんは、叱責されるのを覚悟しました。
就業規則を破った上に、1カ月も仕事に穴を開けたのですから、叱られても無理はありません。
ところが部長は、叱るどころか、Fさんに「救いの言葉」をかけたのです。
「おまえも大変だったな」
それだけではありません。
「これで、おいしいものでも食べろ」
と言って、「退院祝い(3万円)」を渡してくれたそうです。
Fさんは事故の直後から、自分のミスを認め、落ち込み、十分に反省していました。
部長は、Fさんの様子を見て、そのことがわかっていた。だから、傷口に塩を塗るようなことはしなかった。
猛省をうながすことよりも、「Fさんの気持ちに共感すること」のほうが、Fさんの、今後の成長につながると判断したのでしょう。
部長の心づかいに感服したFさんは、「もう絶対にバイク通勤はしない。二度と部長に迷惑はかけない。この人についていこう!」と強く決意したといいます。