この数年間、日本の大企業の利益は、軒並み史上最高益を記録していた。
その大部分は、円安によって円建ての売上高が増加したことによるものだった。したがって、為替レートが円高になると、利益は減少する。すでに多くの企業が円高による減益見通しを公表しているが、これらは英EU離脱以前のものだ。その後さらに円高が進んだので、減益額はさらに大きくなる可能性が強い。
2015年秋以降円高が進む
企業利益の動向も変化
2015年の秋以降、為替レートの動向が変わり、円高への動きが進んでいる。15年6~8月には1ドル123円程度だったが、9、10月には120円程度になった。円高への動きは、今年に入ってからさらに顕著になり、4、5月には110円程度となった。さらに6月には105円程度となっている。
こうした動きの背景として、これまで増加してきた企業利益の動向が変化している。
これまでの企業の利益の推移を法人企業統計によって見ると、図表1~3のとおりだ。
15年7~9月期の世界経済混乱以降の3四半期における経常利益の減少が注目される。
全産業、全規模では、16年1~3月期の経常利益は15年4~6月期から21.6%減少し、異次元緩和直後の13年4~6月期の水準にまで減少した。
製造業では、13年1~3月期と比べると、営業利益がほぼ同じだが、経常利益はかなり減っている。とくに、15年7~9期以降の落ち込みが顕著だ。16年1~3月期の経常利益は、15年4~6月期から41.4%減少し、12年10~12月期に近い水準にまで落ち込んだ。また、営業利益も16年1~3月期には前期より減少している。
非製造業では、13年1~3月期よりは多いが、15年4~6月期よりは少ない。15年7~9月期以降伸び悩んでいることが分かる。15年4~6月期から16年1~3月期の期間で、経常利益が約10.7%減少している。
上記の期間には、原材料価格の下落や、原油価格下落の効果もあったはずである。それにもかかわらず利益が伸び悩み、あるいは落ち込んでいるのが問題だ。
◆図表1:営業利益と経常利益(全産業、全規模)
◆図表2:営業利益と経常利益(製造業、全規模)
◆図表3:営業利益と経常利益(非製造業、全規模)