がん診療連携拠点病院は、「がん治療ができる診療体制が整っているか」「がん治療に詳しい専門医がいるか」「がん治療の実績があるか」など、国が決めた基準をクリアしていることが条件。都道府県の推薦のもとに、厚生労働大臣が指定しており、おもに次のような役割を担っている。

・専門的ながん医療の提供……手術、放射線療法、化学療法を効果的に組み合わせた治療、治療の初期段階からの緩和ケアの実施

・地域のがん診療の連携協力体制の構築……近隣の中小病院や診療所と連携して、がん患者の受け入れや紹介、スタッフの研修や診療支援などを行う

・がん患者に対する相談支援や情報提供……院内に「がん相談支援センター」を設置して、メディカルソーシャルワーカー(MSW)などががん患者の療養全般の相談にのる

 がん診療連携拠点病院は、個別の病院の名称ではなく、がん治療を進めるための国のシステム(制度)なので、具体的には大学病院や地域にある民間病院が、その役割を担っていることが多い。

「都道府県」「地域」「特定領域」の3種類があり、2016年4月現在、全国47都道府県で427ヵ所まで増えている。3つのなかで、いちばん身近にあるのが「地域がん診療連携拠点病院」だ。人口や医療の必要性に応じて分けられた2次医療圏ごとに設けられており、比較的通いやすい病院となっている。

がん診療連携拠点病院なら
がんの標準治療が受けられる

 がん診療連携拠点病院が地域ごとに設けられたおかげで、以前はばらつきのあったがんの治療体制が底上げされており、現在は日本全国どこの地域でも、がんの「標準治療」が、ほぼ同じ内容で受けられるようになっている。

 標準治療は、科学的根拠に基づき、現段階で利用できる最良の治療法で、がんの部位、ステージ(病期)ごとに、手術の方法、放射線の照射回数、使用する抗がん剤の種類、治療の組み合わせ方などが決まっている。

「標準」というと、「並の」とか「普通の」など、一般的にはあまり優れたイメージではないが、医療の世界では、安全性が証明され、もっとも効果の高いベストな治療法だ。

 症例数の少ない、珍しい「希少がん」の場合は、国立がんセンターや県立がんセンターなど、がん研究の専門病院で治療を受けるのが望ましいが、乳がんや大腸がん、肺がんなど、すでに治療法が確立したがんなら、それぞれの地域にあるがん診療連携拠点病院で適切な治療を受けられる。