ところが、特養は入居希望者が多く、どこも待機待ちの人で溢れています。当然、なかなか見つかりません。

 そのうえ、先にも述べましたが、介護休業を取得しても、職場からの問い合わせに応じたり、自宅で何かと仕事をされる方が多い。そんな状態で、いろいろと親の介護のことを調べたり、病院やデイサービスに連れて行ったりしているうちに、休業期間はすぐに終わってしまいます。結果的に、介護のために休みを重ねることになってしまいます。

 介護施設について、収入の高い大企業に勤務している方なら、入居費用が特養よりも高い介護付き有料老人ホームなどの民間施設でも良いのではないかと考えてしまいますが、私が相談に乗った方は、年収2000万円以上の方でも口々に「安い特養に入れたい」と言います。

 40~50代の方は、子どもが大学生や高校生で、「まだまだ教育費がかかる」と言う方が多い。介護付き有料老人ホームの場合、最低でも月に20万円以上はかかってしまいます。悲しいかな、「現実的に、親にはお金をかけられない」という状態なのです。

職場を離れやすい環境ではなく
離れないで済むサポートが必要だ

――難しい問題ですね。介護に直面したら、どうしたら良いのでしょう。

 ビジネスパーソンは忙しい。介護の手続きについても調べるヒマがないという方が多い。大企業のビジネスエリート層であるほどそうだと思います。一昔前なら、男は奥さんに介護を任せるという人もいましたが、最近は共稼ぎも多く、夫婦ともに時間がない。また奥さんだけが介護に耐え忍べば良いという時代ではありません。

 そもそもビジネスパーソンが求めているのは、「職場を離れやすい環境」を作ることではなく、「職場を離れないで済むサポート体制」です。企業側にも、介護の専門家に相談できる窓口や、施設探しなどの負担を減らす代行機能を設けるべきだと思います。

 とはいえ、現状では、個人でどうにかするしかありません。

 まず、自分や家族だけで悩まずに、なるべく早い段階で介護の専門家に相談すべきです。例えば、独立系の社会福祉事務所、あるいは社会福祉協議会の社会福祉士に相談すると良いと思います。社会福祉士は福祉系の国家資格であり、福祉に関する相談を受ける専門職なのですから。何らかの助言や情報は得られるはずです。

 (介護が必要となった家族に)認知症の疑いがある場合は、医療機関の「物忘れ外来」の受診が大きなポイントになります。高齢者のなかには、受診を嫌がる人も多いので、いかにきちんと受診させるかが重要です。認知症の確定診断をもらえたら、その医療機関の医療福祉相談室の医療ソーシャルワーカーに相談すべきです。医療ソーシャルワーカーが地域のキーマンになっていることが多く、介護施設や介護事業者を紹介してくれるはずです。