先進国を中心とする通貨安競争に対して国際的な批判は大きい。だが、低成長にあえぐ経済を浮揚させることが目的であるため、簡単に止められるものではないだろう。ならば、通貨安をもたらすための金融緩和に期待する過剰流動性相場も続く。ただ、目先は11月2~3日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)で一服となる可能性があろう。
10月5日、日銀は「包括的な金融緩和策」を実施。これまで固定金利方式・共通担保資金供給オペレーション(いわゆる新型オペ)というかたちで金融緩和を進めてきた。しかし、マーケットに対する神通力が小さくなってきたことから、新しいスタイルの金融緩和策が期待されていた。そこで指数連動型上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J‐REIT)まで範囲を広げた資産買い入れ基金の創設を検討するなどの、新たな金融緩和策に日銀は踏み込んだ。これをマーケットは高く評価した。
ところが基金の資産買い入れ総額は5兆円と少なく、「政策小出し」という体質は変わらないようだ。一方、次回のFOMCでは米連邦準備制度理事会(FRB)による1兆ドル以上の米国債買い取りが予想されている。文字どおりケタ違いとの見方が根強い。
日米が金融緩和競争に走る状況から過剰流動性相場が期待され、株式、債券、高金利通貨、商品など、あらゆる国際的な金融資産にホットマネーが流れている。金融緩和競争は米国に軍配が上がるとの見方が大勢だ。そのため、円高・ドル安の圧力が強まり、世界的に株式市場が好調ななか日本株は限定的な上昇にとどまっている。