大手損保3社が経営統合して4月1日に発足し、国内首位はおろか、一気に世界7位の規模に躍り出た。だが、収益力は明らかに劣っており、本業である損害保険事業の立て直しが喫緊の課題だ。
「世界トップ水準の保険金融グループを目指したい」
三井住友海上グループホールディングスとあいおい損害保険、そしてニッセイ同和損害保険の3社が経営統合して発足したMS&ADインシュアランスグループホールディングスの江頭敏明社長は、4月1日のグループ発足の式典で新たな目標を華々しく宣言した。
損保業界は長年にわたり、東京海上ホールディングスが一般企業の売上高に当たる正味収入保険料で国内トップの座を守ってきた。それが経営統合によってMS&ADが首位を奪取。損保ジャパンと日本興亜損害保険も遅れまいとNKSJホールディングスを形成し、国内損保は一気に「3強」時代に突入した。
MS&ADは江頭社長のコメントどおり、正味収入保険料で国内2グループを上回り世界7位に浮上、規模面では世界水準に達しているといえる(下の表1)。だが、利益面では遠く及ばないのが現状だ。
世界トップの独アリアンツは、リーマンショックの影響があった2008年度を除き、コンスタントに株主資本利益率(ROE)10%台を記録。09年度は業績を回復させ11.8%を確保した。
これに対しMS&ADのROEは、09年度わずか2.0%。「世界基準で見ればROEで2ケタを確保しなければ認められない」(損保幹部)損保業界のなかではいかにも低過ぎる。
そこでMS&ADは、中期経営計画「ニューフロンティア2013」を策定。本業の利益を示すグループコア利益338億円、ROE2%だった09年度の実績に対し、13年度にはグループコア利益1500億円、ROE7%という目標をぶち上げた(上のグラフ2)。