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PS3の反転攻勢が始まる!?
4年越しの年末商戦に賭けるソニー

石島照代 [ジャーナリスト]
【第6回】 2010年10月22日
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PS3ビジネス、ととのいました<その2>
業界関係者念願の価格3万円割れで、
再スタートを切れるか?

 ゲームビジネスにおいて、最大の鬼門といわれているのが価格設定だ。ソニーが、PS3発売後、価格の壁に苦しんできたことは冒頭にも述べた。そして、任天堂もニンテンドー3DSの価格を2万5000円と発表して物議を醸したが、どうもこのハードの価格には心理的上限があるらしい。

 前出の小山准教授はこの心理的上限について、次のように解説する。「子供を持つ親からすると、ゲーム機は玩具のジャンルに入ります。その場合、ゲーム機に出してもいいと思える金額の上限は2万5000円と言われています」。

 右の表は、小山准教授がまとめた「据置型家庭用ゲーム機発売時の本体価格」から、主なメーカー別に抜粋したものだが、確かに任天堂の価格設定だけを見ていると、2万5000円という心理的上限はあるように感じられる。つまり、任天堂は「価格戦略としての2万5000円」を遵守してきた可能性が高いということだ。これはあくまで推測でしかないが、携帯ゲーム機ではあるが、高性能な3DSの価格が2万5000円なのも、なんとかルール内で収めようとする意識が働いたのかもしれない。

 この「2万5000円ルール」外で成功したハードは、今のところPS2しかないが、これは前述の通り「ゲームも遊べるDVD再生機」、つまり、「デジタル家電」として、PS2が認知を得ることに成功したためであり、純粋にゲーム機としての評価だけで市場ができたわけではない。ちなみに、2001年に発売された、マイクロソフトの「Xbox」も基本的には「ゲームも遊べるDVD再生機」ではあるが、うまくいかなかったのは後発でありながら、発売時の価格がPS2と大して変わらなかったことも大きいだろう。

 そして、問題のPS3である。「ゲームも遊べるブルーレイ再生機」が最安値モデルで2万9980円という価格設定は確かに安価ではあるが、あくまで筆者個人の感覚としては、11月18日に発売されるPS3(320GB)と前述で紹介した「トルネ」のセット(3万9980円)の方が、デジタル家電としてはお買い得なような気がする。PS3の年末商戦を牽引するのは、PS3単体よりもトルネセットである可能性は十分にあるはずだ。継続的に「PS3とトルネで地デジ録画し放題」と打ち出しを行っていけば、一般層にもよりアピールできるのではないか。その結果、PS3市場が形成されればソフトメーカーにとっても願ったりかなったりであろう。

(こやまゆうすけ)1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部准教授。2002年京都大学大学院博士課程修了(経済学博士)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。文章中の表は、「デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究報告書」(財団法人デジタルコンテンツ協会)の中の、小山助教授が執筆した「様々な切り口から見たゲーム開発」より抜粋。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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