飯田光政(いいだ・みつまさ)
西大和学園中学校・高等学校校長
1974年神奈川生まれ。大阪教育大学卒業後、理科教員(生物)として西大和学園に。理科主任、学年部長を歴任し、2020年度には渉外室で生徒募集部長、21年度教頭、22年4月から現職。
東大・京大合格者数で全国ベスト10に
10年前、2012年の西大和学園の東大合格者数は16人で、奈良県内では男子校の東大寺学園と比肩するものの、全国区で話題となる超進学校ではなかった。ところが5年前から、文字通りうなぎ上りで合格者数を増している。いったい何があったのだろうか。
――関西圏の学校がこのコーナーに登場するのは初めてです。2022年も、東京大合格者数ランキングで大進撃されましたね。
飯田 21年よりもさらに子どもたちの夢をかなえることができて、過去最高の79人(全国ランキング5位)となりました(図1)。
――西大和さんといえば、京都大のランキング上位校という感じでした。
飯田 21年には、京都の洛南さんにつぐ63人(全国ランキング2位)の合格者を出しました。今年も多くの子どもたちが受験しましたが、こちらは40人(同10位)しか合格させてあげられませんでした。東大の志望者が増えると、どうしても京大の志望者が減ってしまいます。
――両方とも毎年伸ばすというのは難しいものですね。ところで、東大の合格者を増やそうとカジを切ったきっかけは何だったのでしょう。
飯田 本校は変革し続ける学校です。創立当初は関西私大を目指す学校でしたが、子どもたちの志望や成長に合わせ、目標もどんどん上げていきました。
また、大阪の府立高校が学区制を止めて、2011年度から進学指導特色校(グローバルリーダーズハイスクール)を導入して、北野や天王寺など10校を指定したこともありました。このまま放っておくと、こうした学校から京大合格者数がとんでもなく増えるのは予想できたので。
――その危機感からでしたか。
飯田 大阪の私立高校生には就学支援金は出ますが、大阪から奈良の私立高校に来る生徒には適用されません。それでも本校に来てくれるのはありがたいことです。
奈良から大阪の私立高校に3000人を超える生徒が通っている状況を前に、創始者で県議会議員(のちに衆議院議員)だった田野瀬良太郎元理事長が「日本一の進学校をつくろう」と、1986年に高校(共学校)を、88年に中学校(男子校)をそれぞれ開校したことから本校の歴史は始まっています。
――奈良県内でも、大阪寄りにありますしね。ところで、東大進学へのモチベーションというのはどのように。
飯田 奈良のこの地でどのように存在価値を出すのかと、日々議論しました。京大を受験したい子どもたちは入ってくれるようになりました。しかし、近畿にとどまるだけでなく、どう世界で活躍するのか。そこで、当時の数少ない東大に進学した卒業生を呼んできて、講演してもらう機会も作りました。