なぜ今、eSportsなのか?

eSportsは次世代スポーツか、それともゲームのひとつのジャンルかHyun Baro (ヒョン・バロ)
KPMGコンサルティング
Advanced Innovative Technology
シニアマネジャー

韓国生まれ、米国育ちの日本ゲーム好き。90年代末の韓国で盛り上がり始めたeSportsとその産業の成長を当時思春期のユーザーとして経験し、20年後その経験に基づいて現職で業界初のeSportsアドバイザリーサービスを立ち上げ、現在リードしている。2018年秋学期から慶應義塾大学でeSportsの寄付講座「eSports論」を提供しつつ、日本のeSports普及には必ず既存スポーツとの連携が何よりも大事だと信じているため各種スポーツイベントで登壇や企業で勉強会を行っている。元研究開発エンジニアで米国空軍やNASAとのプロジェクトに多数参加し、韓国大手自動車メーカーで自動運転・EV・HEV研究開発の責任研究員を歴任。航空宇宙工学博士。

 チーム戦が出来るオンラインゲームを中心に出場者による対戦を行い、プロチームの競技を見にアリーナに観戦客が集まり、さらにオンラインストリーミングによる視聴者数も何千万人を余裕に超える大会やイベントが世界各国で開催されています。世界各国からプレーヤーが集まり、豪華な演出、高額な賞金など、eSportsが注目を集めています。eSportsでは、スポンサーシップで動く大規模の資金が大会・プロチーム・プロ選手に調達され、従来のゲーム産業よりはスポーツ産業に近いエコシステムです。早い国では20年前からeSports産業が始まっていますが、2018年ついに日本でも爆発的な成長を見せました(日本eSports市場規模2017年対比2018年13倍成長注1)。

 さらに、最近ではeSportsが正式な競技として認められつつあり、平昌冬季五輪では主大会とは別でeSports大会が開催、2018年夏に行われたインドネシア・アジア競技におけるeSportsパイロット競技の実施、これらの大会以外にも2018年には数多くのeSports関連イベントが開催され大きな注目を集めています。特にeSportsが注目されるきっかけとなった出来事としては、国際オリンピック連盟(IOC)主催の「eSports」をテーマとしたフォーラムがスイスで開催されたことを皮切りに、今後定期的に関連イベントに取り込まれる方針になったことが挙げられます。

 これらのことから、eSports業界だけの盛り上がりでなく、1つのスポーツとして注目されていることから、これからの日本eSports市場は二度とないようなビジネスチャンスにも考えられます。今回の寄稿シリーズでは日本と世界のeSportsについて多角的に分析を行い、日本のeSports産業と文化が一歩前に進むための取り組みについて提言します。