「OLIVE des OLIVE」(オリーブ・デ・オリーブ)は日系ヤングファッションの先がけとして2004年に中国に進出し、毎年130%以上の売上高伸長を続けるなど、アパレル企業の中国進出の成功モデルとして、常にその動向が注目されている。いまでは中国全土に150店舗を展開するまでに成長している。成功の秘訣を渡邉兼久・同社副社長に聞いた。

日系アパレルにとって
「今」を逃したら成功はない

――中国ファッション市場で、長期間事業を成長させる秘訣はどこにあるのでしょうか?

 トレンドに合わせて自社ブランドも変わっていくことがもっとも重要です。変化を続ける中国ファッション市場で、「購買力のある主力消費者がどこを向いているのか」を常にウォッチすることがポイントでしょう。

 例えば、我々が中国に進出した2004年から2009年頃まで、中国のヤングファッションをリードしていたのは韓国ブランドでした。アメリカ系カジュアルでも、日系のカワイイ系でもなく、商品デザインやVMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング:売り場のディスプレイや商品コンセプトなどの表現方法や陳列方法)などが分かりやすい、韓国ブランドが主流でした。

 その頃中国で売れていた日系ブランドは、ミセスをターゲットに、素材や質感で勝負していたブランドだけです。この時期は、ある意味オリーブ・デ・オリーブ(以下オリーブ)も含めた多くのブランドが「いかに韓国ブランドになり切れるか」が勝負の分かれ目でした。

 しかし最近、世界各国のさまざまなファンションブランドが中国市場に流入したことで、中国人のファッションを見る目が肥えて、成熟度が高まりました。そうした流れのなかで、昨年あたりからヤングファッションで「日本のカワイイ系」に若い消費者の注目が集まっています。

 日系アパレルは、「今」を逃すと中国で成功のチャンスはないと思った方がいいでしょう。我々はこのトレンドに合わせて「ONE by olive des olive(ONE by オリーブ)」という日本企画の新ブランドを今年3月に投入しました。

 カワイイ系が数年続いた後は、「メンズ」とか「ファミリー」に流れが来るかもしれません。もしそうなったら時代に合わせて、それに合わせてわれわれも変わっていくだけのことです。