先日、BS朝日の田原総一朗さんの番組「激論クロスファイア」に出ていたら、驚いたことがあった。

 討論相手の増田寛也さんが、「財政再建には増税が必要」と思い込んでいたことではない。もちろん、「財政再建のためには増税ではなく増収」が正しいことを、本コラムで取り上げているものの、依然としてこの種の間違いは著名人にもみられるので、この程度では驚かない。

 先日末のハロウィーン緩和についてである。あの緩和を、安倍総理の10%への再増税に対する“後押し”と、増田さんも田原さんも考えていたというのだ。

日銀の追加緩和は
判断ミスのカバーショット

 筆者は追加緩和の中身(規模)とタイミングについては、以下のように考えている。現時点の経済状況は、4月の8%への消費増税によって需給ギャップ(需要と供給の差)が十数兆円にまで拡大している(図1)。今回の追加緩和は、中期的にこの需給ギャップを埋めるような有効需要(消費、投資等)を創出するうえで、まずまずの規模である。

「リカードの中立命題」が大好きな<br />黒田総裁らの増税論者は否定された

 一方、タイミングには問題がある。需給ギャップの拡大は4月の8%への消費増税によってもたらされたのだが、増税の悪影響について、日銀はその見積もりでミスをしている。例えば、昨年4月の日銀展望レポートでは、2014年度の成長率・インフレ率はともに1.4%という見通しだったが、今回は実質成長率0.5%、インフレ率1.2%と下方修正されている(図2)

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