MBAで教えられている「分析ツール」は知っているだけで仕事に「差」がつく武器になります。本連載ではクリティカル・シンキング、定量分析、交渉、経営戦略などの分野から分析ツールを50個厳選した『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス分析ツール50』から、そのエッセンスを紹介します。第3回は「伊藤忠によるライザップのブランドの独占使用権取得」がテーマです。

伊藤忠のもくろみとは?

6月30日、伊藤忠はライザップのブランドの独占使用権を取得したと発表しました。トレーニングウェアやその他アパレルなどに展開するようです。ライザップはしばらく前に別のニュースでも話題になりましたが、ダイエットに関しては独自のノウハウを持ち、結果にコミットするということで注目度の高いブランドです。

今回は、この両社の戦略について考察してみましょう。

まず、スポーツウェアに関するKBF(Key Buying Factors:主要購買要因)について検討してみましょう。KBFとは、顧客が購買する時に何を重要な意思決定要因とするかということであり、マーケティング戦略や事業戦略を検討する上で非常に重要な分析項目です。一般にこれはアンケート調査などで調べることが可能です。図1にいろいろな商材の典型的なKBFをリストアップしてみました。

 では、スポーツウェアの典型的KBFは何でしょうか。筆者の周りの何十人かの知人に聞いてみたところ、概ね以下のような感じでした。

・オシャレ感。他人に見られても恥ずかしくない
・特に機能性を意識した費用対効果
・著名アスリートを連想させる

これは概ね読者の方々も納得感があるのではないでしょうか。たとえば筆者は90年代によくナイキの商品を買いましたが、カッコいい印象や、NBAのマイケル・ジョーダン選手の
イメージが大きな決め手になりました。価格は高いものも多かったのですが、機能性はまずまずで、ブランドイメージも考慮すると費用対効果は悪くないと感じました。

では、今回のライザップはどうでしょうか?

正直、オシャレなイメージはあるでしょうか?私自身もダイエットには興味はあるのですが、ジョギングをする際にライザップのウェアを着る気はあまりしません。今であればアンダーアーマーでもいいですし、ノンブランドの機能性の高いウェアで十分間に合うような気がします。むしろ、ライザップのウェアを着て、「今一つの体型」を見られるのはむしろ恥ずかしい気もします。

現時点では著名なアスリートを連想させるということもないので、正直、誰が買うのだろうという印象は否めません。