合格力を左右した三つの要因

 今回の大きなランク変動の要因を、三つの視点から考えてみたい。

 まず、大都市圏の大規模大学にかけられた定員厳格化の縛りである。ほんの数年前までは募集定員の2割増し以上の入学者が珍しくなかったが、21年入試では1割増しを限度に、それを超えると補助金を原則としてカットするというルールを課せられてしまった。

 21年は、私立大の受験者数が12%余り減少するという未曽有の状況も見られた。それでも今回2位の小石川が185.5で、5位洗足学園の179.8までが、前回1位だった世田谷学園の合格力(前回177、今回132.6)を上回っているように、このような環境下でも難関私大の合格者数を確保した高校が、今回のランク上位に顔を並べている。

 その典型が、前回の合格力150.2が今回は236.1と大きく飛躍した、1位の頌栄女子学院である。21年(20年比)には、早稲田大111人(+17人)、慶應義塾大106人(+36人)、上智大91人(+43人)、明治大129人(+33人)、立教大155人(+93人)といった具合に、合格者数の伸長が著しい。

 頌栄女子学院はなぜ21年に飛躍したのか。最近の卒業生によると、「部活も熱心で、モチベーションやガッツがある学年」だったというのだが、学校側の受け止め方は少し違うようだ。帰国生は例年同様の40人前後で変わりがない。進学指導はごく一版的な実力相応校、安全校、挑戦校を二つずつというものだ。進路指導で印象的な点は、一般選抜入試で合格できるだけの学力をつけようと21年も強調していた点だろうか。非一般選抜に流れる傾向が強まっているだけに、王道を進む指導が成果を発揮したといえるかもしれない。

 二つ目が、広い意味でのコロナ禍の影響だ。21年入試では、定員厳格化と合わせて大学側も歩留まりが読めず、合格者を小出しにしていったため、3月の後半になっても追加合格の発表や打診が相次いだ。上位の大学に合格者がシフトしていけば、その穴埋めが必要となる。結局、私立大の半分は定員割れという状況に追い込まれてしまった。

 三つ目が、非一般選抜入試である。21年に導入された大学入学共通テストを回避して、年内に合格を勝ち取りたいという受験生が、私立大を中心とする学校推薦型や総合型(旧AO)の選抜入試に動いている。年内に合格を得れば、年明けの一般選抜入試は受けない。複数の私立大の学部を受験し、そこで得られた合格数が難関私立大学合格力には反映されるため、1人の優秀な受験生が一般選抜入試を避ければ合格力は減ってしまう。