相川俊英
第39回
住民が行政を訴えるいわゆる住民訴訟で、原告側の勝訴となるケースはめったにない。だが、今年9月に仙台地裁がある住民訴訟で原告勝訴を言い渡し、話題になっている。勤務実態がよくわからない行政委員の報酬が、多過ぎるというのだ。

第38回
維新側の圧倒的勝利に終わった大阪ダブル選挙。これを「話題性やタレント性の勝利」と言えるだろうか。いや、違う。投票率の圧倒的な高さを見てもわかるとおり、明暗を分けたのは現状を変えようとする情熱だった。大阪の民意が目覚めたのだ。

第37回
大阪市長選に共産党推薦で立候補予定だった前市議が、橋下氏当選を阻止するため、出馬の取り止めを表明した。この動きは前代未聞であり、「反ハシズム統一戦線」の徹底ぶりをうかがわせる。この混沌とした選挙戦の本来の意義とは何だろうか。

第36回
「大阪都構想」の是非を問う大阪ダブル選挙の“舌戦”がいよいよ熱を帯び始め、「大阪秋の陣」の様相を呈してきた。関係者の思惑が複雑に絡み合う舞台裏を現場から詳しくレポートすると共に、今回の選挙の価値を考えてみよう。

第35回
奈良市議会でまさかと思うような不祥事が発覚した。市議会議長ポストを巡る買収工作で、関係者は全員、有権者から選ばれた市議だった。あまりにも規範意識が欠如したこの事件で、地方議会の質と改革の必要性が、改めて問われている。

第34回
今年2月、秋田県旧角館町(現在の仙北市)の住民による市民団体への相談から驚愕の事実が次々に明らかになっていった。確定申告偽造と不正還付金詐取事件ーー。官が官を騙す「官官詐欺」である。

第33回
被災地の宮城県亘理町と歴史的に深い関係にある北海道伊達市が同町のイチゴ農家を対象にした支援策を打ち出した。被災地の農地復旧までの長期に及ぶ支援策で、いわば被災農家への一時的な移住の勧めである。

第32回
「被災者支援実証ほ」は、もともとあった国の耕作放棄地再生利用対策を被災者用に拡充したもので、避難先などで耕作放棄地を再生して行う営農経費を全て支援する手厚い制度である。しかし、好条件ながら使い勝手が悪く、利用を諦める被災農家が相次いでいる。

第31回
人口20万人ほどの沼津市が巨大公共事業の是非をめぐり混迷している。市を二分する対立がいつ果てるともなく続いている。紛争の種は、関連事業を含めると総事業費が2000億円近くにのぼる沼津駅の鉄道高架事業である。

第30回
長野市で現在、住民投票の実施をめぐって論戦が繰り広げられている。そこで思い出されるのが、十年前の静岡県の出来事。選挙で選ばれた首長や議員の多くは「我こそが民意を代表している」と、直接民主主義の手法を不要視する。なかには忌み嫌う人までいる。

第29回
広島新市長は五輪招致断念を発表し、とって代わるように東京都が2020年夏季五輪への立候補を表明した。東京都は2016年に続き2大会連続の挑戦で、今回は「震災復興五輪」がテーマという。しかし、こういう大事なことは住民投票で賛否を問うべきではないか。

第28回
通常時ならば、大きく取り上げられるような出来事が、震災と原発危機という大二ュースの陰に隠れてしまっている。致し方ない面もあるが、世の関心が集まらず、内心、ホットしている人達もいるはずだ。そのひとつが、地方議員の年金廃止問題である。

第27回
飛ぶ鳥を落とす勢いだった河村・名古屋市長が一転して窮地に。それも既成政党の反撃によるものではなく、自壊自滅の恐れだ。6月定例市議会の開会を金曜日(24日)に控えて体制立て直しに懸命だが、容易ではない。

第26回
今回の統一地方選では、立候補者が定数を超えず投票が実施されないまま当選が確定する無投票選出が相次いだ。背景には、首長と議員の被選挙権に違いをもうけている地方自治法の存在がある。

第25回
4年に一度の統一地方選挙でありながら、無投票選挙区が多く、選挙が実施されたところも低投票率というのが、都道府県議会選挙の実態だ。しかも、これまでならあり得なかった奇妙な現象が愛知県議選で起きた。

第24回
これまでの地方議会ではありえなかったことが、名古屋市議会で起きた。一年生議員が、議長ポストについたのである。政治経験のない全くの新人で、しかも議長選挙を勝ち抜いての就任だ。当選回数が何よりもモノを言うのが議員の世界。本来ならば、ありえない快挙である。

第23回
未曾有の国難に直面する今、統一地方選で最優先すべきこと
未曾有の難局に日本社会が直面するなか、4年に1度の統一地方選が始まる。政府は過酷な現実を直視し、被災自治体を対象に投開票日の延期を決めた。しかし選挙の先送りは被災地だけでいいのだろうか。

第22回
婚活でこんなことをしたら、誰にも相手にされなくなってしまうだろう。結納を交わす寸前に、別な相手とのお見合いに出かけるようなものだからだ。市町村合併の相手先をめぐるこの騒動は、まさにそうしたものである。

第21回
利用の低迷と路線の撤退発表が続く静岡空港に県が多額の税金を新たに投じて支援策に乗り出す。税金を投じて整備されたものが地域のお荷物となり、住民がそれに振り回されてしまう本末転倒の由々しき現象だ。

第20回
そもそも、評価のない世界に進歩はありえない。議員の世界も例外ではない。議員は、いわば市民の代理人・代弁者。選んだ市民がその仕事ぶりをチェックするのは、当然のこと。そんな当然のことが相模原市で始まった。
